浴衣制作SS(ぽいもの)

今回のプレゼント
・浴衣(女性用1枚、男性用2枚)/舞、青、是空に
・甚平/小カトーに
/SS/
フィールドエレメンツグローリーの王宮の一室にて。
2人の少女が大変危なっかしい手つきで、しかしやたら真剣な表情で。
縫いものを行っていた。
チクチクチクチク
ぬいぬいぬいぬい
「たく、誰だよ甚平縫うなんて言い出した奴」
「オメェですわオメェ。ショウ君は浴衣より甚平のが似合うと言ったのは佑華さんですわよ」
チクチクチクチク
ぬいぬいぬいぬい
「たく、誰ですの。浴衣男性用二着女性用一着縫うなんて言い出した奴」
「オメェだよオメェ。ウチの藩王と青と舞さん呼ぶし、折角のお祭りだから浴衣献上したいなんて言い出したのは芹沢でしょうが」
「後で藩王様の縫うの手伝って下さいましよ? どう考えたって私の方が縫う量多いんですからね」
「ショウ君のが完成したら考えるわ」
阿呆な掛け合いを行いつつも手は動かし続ける。
西国人特有の銀髪にぴくぴく猫耳を動かす馬鹿コンビ。
最近まで行方不明になっていた不良文族の芹沢琴と、小カトーに会う為に文を量産し続ける、人呼んで瀧川の守護妖精(本人否定)*1金村佑華である。
只今、数日後行われる小笠原の秋祭りに向けて。一緒に祭りに行こうと招待したお客様の為、浴衣(一着甚平)作りの真っ最中である。
芹沢は今回、小笠原初上陸な上、今回共に祭りに参加する青の厚志、芝村舞、自国の藩王・是空とおるとおしゃべりできるとうきうきを押さえられないでいるのに対し。
既に2回小笠原行きを果たしている金村は何故か、暗い表情を浮かべていた。
この金村という人物、タキガワが絡むと途端に駄目になり、少々マイナス思考の気があるのが悪化するのが致命的だった。
「・・・・・・着てくれるかな、ショウ君」
呟きながら、縫いかけの甚平を抱きしめようとして、やめた。マチ針で血まみれになったりしたら仮に着てくれる気があっても萎えるだろう。
「そりゃあ・・・・・・佑華さん?」
芹沢は怪訝な顔で金村を見遣った。勿論手は相変わらず危なっかしいが休めずに。
「・・・・・・こないだ会った時、言いたい事の半分も言えなかったんだよね」
やや自嘲気味に笑う金村。*2
「どうしよ、絶対電波だと思われた」
「ま、まあ・・・」
芹沢は言葉を選びながら何とかとりなそうとする。
「少なくとも悪人だとは思われていないと思いますけど。だって悪人は怪我人の手当てはしないでしょ」*3
「内臓採る為に仕方なく手当てしたと思われてるかもしれないじゃないか!」
「オメェどこまでネガティブなんだよ」

芹沢は自分のキャラも忘れてそうツッコんだ。*4
どうしたもんか、と思いつつも。
「ま、まあ小カトーさんに直接お聞きすればいいじゃないですか」
金村はまだ何か言いた気な顔をしていたが、このままマイナス思考の無限ループは御免被りたい。だから芹沢は今やっている和裁に集中する事にした。第一、芹沢はこのような色恋沙汰の相談には不得手だった。
ちなみに、彼女達がミシンの存在に気が付くの。これから15分後。
そして肝心のミシンのホビンの糸付けに苦戦し、断念するのは更に30分後。
そして、完成させ祭りのギリギリ直前まで爆睡するのは更に10時間後の事である。
/*/
文:芹沢琴
絵・編集:金村佑華
*1:ACE是空とおるのページに書かれた。金村「いや、そんな守護妖精なんていいものじゃなかとです。宰相府公認の守護妖精の方々に失礼とです。ストーカーが関の山とです……」
*2:所載は「小カトーにプリンを食べてもらえなかったログ」で
*3:所載は「小カトーと弁当を食べるログ」で
*4:この会話は両者のPL達が実際に会話した時本当に飛び出た発言だから余計に始末に終えない。
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