忍者ブログ記事別アクセス推移 多岐川さんのアイドレス日記: カレーと母と私
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カレーと母と私

 その日、私は母に呼び出され、リビングに着かされました。

母「説明しなさい」
私「はい」

 母は眉間に皺を寄せていました。
 要は怒っていたのです。

母「これは、何ですか?」
私「鍋です」
母「中身は何ですか?」
私「カレーです」
母「どうしてカレーがこんなにツヤツヤ光っているんですか?」

 母が持ってきた鍋には、目いっぱいカレーが入っていました。
 我が家ではカレーは1週間分まとめて作り、昼ごはん作るのが面倒くさい時や休みの日の非常食となっているのです。
 そのカレー(約1週間分)は、黒く、ツヤツヤと光っていました。
 例えるならば、温度調整を徹底したテンパリングを施し、ツヤツヤ光るチョコレートのような光沢を浮かべていたのです。こう、CMとかで見るような。
 私は座って明後日の方向を向いていました。

母「答えられませんか?」
私「………」

 ああ、逃げ出したい。
 ああ、逃げ出したい。
 私は明後日の方向を向いていましたが、母が私の頭の中をズバズバと言ってのけました。

母「アンタ、チョコレート作るのはいいけれど、残ったココアもったいないからって、残ったココア全部カレーに突っ込むのはやめなさい!!」
私「……かっ、隠れるかなあって……」
母「隠れるかぁぁぁぁ!! 何でカレー食べた瞬間カレーのスパイシーな匂いが飛んでココアの甘い匂いが鼻腔をくすぐり、口の中いっぱいに広がる苦味を堪能しなくちゃいけないの!?」
私「多分一晩寝かせれば何とか……」
母「なるかぁぁぁぁぁ!! 何でアンタは一晩経っておいしくなったカレーをわざわざ寝かせないと食べられないような代物にするの!? 馬鹿なの!? 死ぬの!?」
私「ごめんなさいー」

 母に、小一時間、カレーの何たるかについて説教をされたのでした。
 ちなみに、何故カレーがテンパリングチョコ並みにツヤツヤになってしまったかと言うとですね、私がトリュフを作った際にまぶすのに余ったココアがもったいないなあと思い、出来心でバット1つに敷いていたココアを全部カレーに突っ込んだせいなのです。
 食べた瞬間何となく粉っぽく、とりあえず遠くにカレールーだけ入れ物に入れておけば、ホットチョコかと勘違いして絶望するような代物が爆誕してしまった次第です。
 ちなみに、責任感じて残ったカレーは全て私がたいらげました。
 鼻腔をくすぐる、甘い匂い。口の中いっぱいに広がる苦味。煮とけてどことなくグラッセのチョコレートシロップがけみたいになってしまった野菜達。どことなく可哀想な不憫な白米。
 ………。
 何でこんなマンガに出てきそうなものができたんだろう。
 作った当の本人は憮然としておりました。
 ちなみに、3ヶ月に1度変なものができるだけで、私が普段作るものは割と普通のものです。念のため。
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