ジャイ@FEGさん依頼SS完成しました
それは猫の戯言か
*この物語はアイドレス内におけるフィクションであり、アイドレス内に実在する登場する人物・猫士・団体とは一切関係ありません。多分恐らくきっと。
FEG。
昔は砂漠のそこそこ大きい位の国だったのが、砂漠がなくなり草原の国となり、草原の国にはビルが建てられ公害が発生、しかしそれらは国民が一斉に食い止める事で何とか回避され、現在は藩王の愛娘が国を少しずつ少しずつ緑で覆い始め、そして現在に至る。
大都会と妖精の住まう森が一緒になった国。それが現在のFEGの姿である。
それらをずっと見届けていたものがいた。
王猫である。名前をZと言う。ちなみに「ゼット」ではない。「ゼータ」である。
Zはそれらを目を細めて(この猫はいつも半眼であった)見ていた。
特に怒る訳でもなく、悲しむ訳でもなく。ただ、見ていた。
猫は気まぐれである。いい加減とは少し違う。
「にゃーん」
Zは目を細めて、今日も政庁城で丸くなっていた。
/*/
「王猫様、王猫様」
「どうしたぃ?」
猫士がZの元にとことこ走ってきた。
ちなみにこの猫士はチロと言う名前である。
「あのですね。今日はお呼ばれをされました」
「ほう、珍しい。俺を呼ぶとは酔狂な奴もいたものだな」
ちなみに、Zはファンが多い。
FEGにはZの肉球を触り隊、略してZNSなる秘密クラブまで存在するのだから、本当に多いのだろう(Zはこの秘密クラブをいつも出し抜いているのだが、それは余談と言うものである)。
よって酔狂と言う訳ではないのだが、Zはあえてそう呼んでいる。
この猫、この国の王と同じでハードボイルドなのである。
「えっとですね。喫茶いつかにお出でくださいと招待状に書いてあります」
「俺は猫だ。コーヒーは飲まん」
「ミルクはあるそうですよ」
「酒はないのか」
「マスターさんが怒るそうです」
「……ふっ、まあいい。酔狂な奴の顔を見に行くか」
Zはすっくと立ち上がった。
チロはそれにとことこと付いていった。
/*/
喫茶いつか。
コーヒーとマスターとの会話を楽しむこの店は、その日、貸切であった。
周りは猫士・猫士・猫士。
猫士で満員だった。
猫士以外は、マスター含めて4人しかいない。
今日猫士達を招待したジャイと、マスターの妻の松井いつか、猫士達と一緒に招待された鷹野徹である。
「こんにちはー」
「うーす」
「にゃーす」
ジャイの挨拶に、鷹野と猫士達の言葉がハモった。
「猫士さんたちとなかよしなのですねー」
いつかは感心したように鷹野と猫士を見比べた。
鷹野は少しだけ、曖昧な笑みを浮かべた。
「仲、いいんですかね……でもまあ、こいつらも……守りたいですね」
「ふっ……」
鷹野の曖昧な笑みを浮かべるのをニヒルに笑うものがいた。
喫茶いつかの一番奥の席に、その猫は寝そべっていた。
一見でっぷりしているが、毛はふさふさしていて気持ちよさそうである。
猫好きのジャイは、その猫……Zの元にしゃがみ込んだ。
「なでていいですか?」
ジャイの言葉に、Zはニヒルに笑った。
「俺に触るとやけどするぜ」
「まじすか」
……何でもいいが、この王猫も猫士達も、明らかにこの国の王に口調が酷似しているのだが、気にしてはいけない。1ミクロンたりとも。
「さすが王猫ですねえ」
「かっこいい……」
ジャイといつかは目を細める。
王猫はどの国でも王と同等に尊い存在であり、それと同時にアイドルである。
代わりにジャイはお土産に持って来た猫缶の一つを開けて、マスターが差し出した皿に盛った。
「では、これを」
「やるじゃねえか。若いの」
Zは皿を見てニヤリと笑った。
Zの近くに他の猫士達が耳をピクピク、尻尾をピンと立てて寄ってきた。
ジャイは笑いながらもう一つの猫缶も皿に盛り、猫士達の前に置いた。
猫士達はとことこと周りに寄ってきて、皿の匂いをヒクヒク嗅ぐと、はぐはぐ食べ始めた。
「お酒までは気が回らなかったので、片手落ちですが」
「ここは喫茶店だ」
ジャイの一言にマスターは少しだけムッとした顔をしたが、まあそれはさておき。
「まあ、お酒は別の機会に」
「俺はプレミアムしかなめないグルメキャット」
「プレミアムですか。探してきますねー」
「ふ……」
Zは猫士達と一緒に開けた猫缶を食べ始めた所に、いつかが近付いてきた。
Zはいつもの半眼でいつかを見上げた。
「遅れましたが11ターンからFEGでお世話になってる松井です。よろしくお願いします」
Zはまじまじといつかの顔を見つめた。
「一人の女を知ってるかい?」
その一言に、ジャイといつかは顔を見合わせた。
マスターは我関せずと、コップを布で磨いていた。
二人の脳裏に浮かんだのは、この国で絶対の権力と信頼を勝ち取っている、王と唯一対等の女性であった。
「一人の女…是空素子さんのことでしょうか?」
この国の誰もが忘れた名前であった。
Zは満足そうに頷いた。
「第7世界人は覚えてるのか。ならいい」
「ええ、この国の国民ですから。あなた方のブラッシングを良くしていたと聞いています」
「いい女だったぜ」
Zはニヤリと笑った。
ジャイは「ん?」と首を捻った。
既に国民は彼女の存在を忘れ、国名の由来も知らないはずである。
「ということは、王猫様も素子さんのことを覚えているのですね?」
「俺は猫だからよ。時間を超えて見ることが出来る」
「なるほど。他の国民の方からは忘れられているので寂しいことです」
「猫妖精と猫というのはちがうものなのですか」
「俺は猫士だ」
「にゃーす」
その回答に、いつかは首を傾げた。
猫士との付き合いはFEGに来てからだがそこそこ長い。
しかし彼らの事は実はよく分からない事だらけなのであった。
「素子さんは、今でも元気でやってるかご存知ですか?」
「知ってるが、教えられねえ」
「おっと、失礼しました。是空さんも心配しておられるので先走ってしまいました」
ジャイは鷹野の方を見て謝った。
鷹野は少し困ったような顔で笑っていた。
「……是空さんは、たぶん、みんなより本当は、ずっと心配してるし、方法も探してると思いますよ」
「はい」
「そうですね。
鷹野の言葉に二人は頷く。
その事は、FEGにずっと住み続けるものだったらみんな知っている事であった。
「今日は王猫様や、猫士の皆さんや、鷹野さんにお会いできて良かったです。お時間をいただきありがとうございました。総一郎も、付き合ってくれてありがとう」
いつかはマスターに頭を下げた。
マスター……総一郎は目を逸らした。
「……いや、コーヒーでも飲んでいけ」
「はい!」
総一郎はいつものようにコーヒーを淹れ始めた。
「にゃーす」
猫士が何匹か足元で総一郎を見上げている。
総一郎は黙って冷蔵庫からミルクを取り出し、新しい皿を出して注いで出した。
猫士達は揃ってぴちゃぴちゃ飲み始めた。
それを見ていたら、ジャイは微笑ましくなり、ブラシを取り出した。
ミルクを飲み終えた猫士から、順番にブラッシングしてやる。
気持ちいいらしく、終わった猫士達はごろんとお腹を出して寝転がった。
「こう、猫にブラッシングと化してるとなごみますね」
「フッ……」
Zは「にゃーす」と愛想よくジャイにお礼を言う猫士達を微笑ましく見守っていた。
いつかはスケッチブックと筆記用具を取り出し、転がっている猫士達を順番に絵に描き始めた。
「まあ、この国じゃ不遇だからな」
猫士達が窓際の陽の当たる場所で転がっているのを見ながら総一郎は言った。
「不遇なんですか?」
「うまい魚が少ない」
「魚ですか。今度、差し入れしよう」
「にゃーす」
「あざーすだぜ」
「どんな魚が好きなの?」
ジャイはチロ――ジャイが可愛がっている猫士である――にブラッシングしながら訊いた。
「めだか」
「メダカね。一杯持ってこないといけないね」
ジャイは小さなメダカにまみれてはしゃいでいるチロを想像しながら、ブラッシングの終わったチロを下ろすと、チロはとことこ猫だまりに歩いていった。コロンと寝転がり「ふなーう」とあくびをしている。
奥で丸まっているZに声をかけた。
「あ、王猫様もブラシングしましょうか」
「俺はフサフサだぜ」
「ブラッシングは慣れてますから」
そう言ってZを抱きかかえてブラッシングを始める。
Zはふくふくしていて、抱き心地がいい。手玉にならないよう丁寧にブラッシングをし終えると、とんと床に下ろした。
それと同時に、いつかのスケッチが終わった。
「描けました。……どうでしょうか? 似てますかね」
Zの方向にスケッチブックを見せると、Zはとことことスケッチブックの方向に歩いていった。まじまじとイラストを見る。
「まあまあだな。ふとりすぎてないか?」
「猫の方はふくふくとしているほうが人間の間では魅力的だといわれているのですよ」
いつかはにっこりとZに微笑んだ。
それを見て、総一郎は笑い始めた。
/*/
Zは今日も政庁城で丸まっている。
「おー、Z。この間松井の所に行ったんだって?」
「ああ。どんな酔狂な奴らかと思ったら、気持ちのいい奴らだった」
「ほー、そりゃよかったよかった。あら。何。男前に描いてもらったじゃない」
「フッ……」
是空とおる藩王が目線を向けた先。
Zの普段丸まっている政庁城には、スケッチブックが飾られていた。
Zが目を細めてブラッシングされている姿が描かれていた。
<了>
*この物語はアイドレス内におけるフィクションであり、アイドレス内に実在する登場する人物・猫士・団体とは一切関係ありません。多分恐らくきっと。
FEG。
昔は砂漠のそこそこ大きい位の国だったのが、砂漠がなくなり草原の国となり、草原の国にはビルが建てられ公害が発生、しかしそれらは国民が一斉に食い止める事で何とか回避され、現在は藩王の愛娘が国を少しずつ少しずつ緑で覆い始め、そして現在に至る。
大都会と妖精の住まう森が一緒になった国。それが現在のFEGの姿である。
それらをずっと見届けていたものがいた。
王猫である。名前をZと言う。ちなみに「ゼット」ではない。「ゼータ」である。
Zはそれらを目を細めて(この猫はいつも半眼であった)見ていた。
特に怒る訳でもなく、悲しむ訳でもなく。ただ、見ていた。
猫は気まぐれである。いい加減とは少し違う。
「にゃーん」
Zは目を細めて、今日も政庁城で丸くなっていた。
/*/
「王猫様、王猫様」
「どうしたぃ?」
猫士がZの元にとことこ走ってきた。
ちなみにこの猫士はチロと言う名前である。
「あのですね。今日はお呼ばれをされました」
「ほう、珍しい。俺を呼ぶとは酔狂な奴もいたものだな」
ちなみに、Zはファンが多い。
FEGにはZの肉球を触り隊、略してZNSなる秘密クラブまで存在するのだから、本当に多いのだろう(Zはこの秘密クラブをいつも出し抜いているのだが、それは余談と言うものである)。
よって酔狂と言う訳ではないのだが、Zはあえてそう呼んでいる。
この猫、この国の王と同じでハードボイルドなのである。
「えっとですね。喫茶いつかにお出でくださいと招待状に書いてあります」
「俺は猫だ。コーヒーは飲まん」
「ミルクはあるそうですよ」
「酒はないのか」
「マスターさんが怒るそうです」
「……ふっ、まあいい。酔狂な奴の顔を見に行くか」
Zはすっくと立ち上がった。
チロはそれにとことこと付いていった。
/*/
喫茶いつか。
コーヒーとマスターとの会話を楽しむこの店は、その日、貸切であった。
周りは猫士・猫士・猫士。
猫士で満員だった。
猫士以外は、マスター含めて4人しかいない。
今日猫士達を招待したジャイと、マスターの妻の松井いつか、猫士達と一緒に招待された鷹野徹である。
「こんにちはー」
「うーす」
「にゃーす」
ジャイの挨拶に、鷹野と猫士達の言葉がハモった。
「猫士さんたちとなかよしなのですねー」
いつかは感心したように鷹野と猫士を見比べた。
鷹野は少しだけ、曖昧な笑みを浮かべた。
「仲、いいんですかね……でもまあ、こいつらも……守りたいですね」
「ふっ……」
鷹野の曖昧な笑みを浮かべるのをニヒルに笑うものがいた。
喫茶いつかの一番奥の席に、その猫は寝そべっていた。
一見でっぷりしているが、毛はふさふさしていて気持ちよさそうである。
猫好きのジャイは、その猫……Zの元にしゃがみ込んだ。
「なでていいですか?」
ジャイの言葉に、Zはニヒルに笑った。
「俺に触るとやけどするぜ」
「まじすか」
……何でもいいが、この王猫も猫士達も、明らかにこの国の王に口調が酷似しているのだが、気にしてはいけない。1ミクロンたりとも。
「さすが王猫ですねえ」
「かっこいい……」
ジャイといつかは目を細める。
王猫はどの国でも王と同等に尊い存在であり、それと同時にアイドルである。
代わりにジャイはお土産に持って来た猫缶の一つを開けて、マスターが差し出した皿に盛った。
「では、これを」
「やるじゃねえか。若いの」
Zは皿を見てニヤリと笑った。
Zの近くに他の猫士達が耳をピクピク、尻尾をピンと立てて寄ってきた。
ジャイは笑いながらもう一つの猫缶も皿に盛り、猫士達の前に置いた。
猫士達はとことこと周りに寄ってきて、皿の匂いをヒクヒク嗅ぐと、はぐはぐ食べ始めた。
「お酒までは気が回らなかったので、片手落ちですが」
「ここは喫茶店だ」
ジャイの一言にマスターは少しだけムッとした顔をしたが、まあそれはさておき。
「まあ、お酒は別の機会に」
「俺はプレミアムしかなめないグルメキャット」
「プレミアムですか。探してきますねー」
「ふ……」
Zは猫士達と一緒に開けた猫缶を食べ始めた所に、いつかが近付いてきた。
Zはいつもの半眼でいつかを見上げた。
「遅れましたが11ターンからFEGでお世話になってる松井です。よろしくお願いします」
Zはまじまじといつかの顔を見つめた。
「一人の女を知ってるかい?」
その一言に、ジャイといつかは顔を見合わせた。
マスターは我関せずと、コップを布で磨いていた。
二人の脳裏に浮かんだのは、この国で絶対の権力と信頼を勝ち取っている、王と唯一対等の女性であった。
「一人の女…是空素子さんのことでしょうか?」
この国の誰もが忘れた名前であった。
Zは満足そうに頷いた。
「第7世界人は覚えてるのか。ならいい」
「ええ、この国の国民ですから。あなた方のブラッシングを良くしていたと聞いています」
「いい女だったぜ」
Zはニヤリと笑った。
ジャイは「ん?」と首を捻った。
既に国民は彼女の存在を忘れ、国名の由来も知らないはずである。
「ということは、王猫様も素子さんのことを覚えているのですね?」
「俺は猫だからよ。時間を超えて見ることが出来る」
「なるほど。他の国民の方からは忘れられているので寂しいことです」
「猫妖精と猫というのはちがうものなのですか」
「俺は猫士だ」
「にゃーす」
その回答に、いつかは首を傾げた。
猫士との付き合いはFEGに来てからだがそこそこ長い。
しかし彼らの事は実はよく分からない事だらけなのであった。
「素子さんは、今でも元気でやってるかご存知ですか?」
「知ってるが、教えられねえ」
「おっと、失礼しました。是空さんも心配しておられるので先走ってしまいました」
ジャイは鷹野の方を見て謝った。
鷹野は少し困ったような顔で笑っていた。
「……是空さんは、たぶん、みんなより本当は、ずっと心配してるし、方法も探してると思いますよ」
「はい」
「そうですね。
鷹野の言葉に二人は頷く。
その事は、FEGにずっと住み続けるものだったらみんな知っている事であった。
「今日は王猫様や、猫士の皆さんや、鷹野さんにお会いできて良かったです。お時間をいただきありがとうございました。総一郎も、付き合ってくれてありがとう」
いつかはマスターに頭を下げた。
マスター……総一郎は目を逸らした。
「……いや、コーヒーでも飲んでいけ」
「はい!」
総一郎はいつものようにコーヒーを淹れ始めた。
「にゃーす」
猫士が何匹か足元で総一郎を見上げている。
総一郎は黙って冷蔵庫からミルクを取り出し、新しい皿を出して注いで出した。
猫士達は揃ってぴちゃぴちゃ飲み始めた。
それを見ていたら、ジャイは微笑ましくなり、ブラシを取り出した。
ミルクを飲み終えた猫士から、順番にブラッシングしてやる。
気持ちいいらしく、終わった猫士達はごろんとお腹を出して寝転がった。
「こう、猫にブラッシングと化してるとなごみますね」
「フッ……」
Zは「にゃーす」と愛想よくジャイにお礼を言う猫士達を微笑ましく見守っていた。
いつかはスケッチブックと筆記用具を取り出し、転がっている猫士達を順番に絵に描き始めた。
「まあ、この国じゃ不遇だからな」
猫士達が窓際の陽の当たる場所で転がっているのを見ながら総一郎は言った。
「不遇なんですか?」
「うまい魚が少ない」
「魚ですか。今度、差し入れしよう」
「にゃーす」
「あざーすだぜ」
「どんな魚が好きなの?」
ジャイはチロ――ジャイが可愛がっている猫士である――にブラッシングしながら訊いた。
「めだか」
「メダカね。一杯持ってこないといけないね」
ジャイは小さなメダカにまみれてはしゃいでいるチロを想像しながら、ブラッシングの終わったチロを下ろすと、チロはとことこ猫だまりに歩いていった。コロンと寝転がり「ふなーう」とあくびをしている。
奥で丸まっているZに声をかけた。
「あ、王猫様もブラシングしましょうか」
「俺はフサフサだぜ」
「ブラッシングは慣れてますから」
そう言ってZを抱きかかえてブラッシングを始める。
Zはふくふくしていて、抱き心地がいい。手玉にならないよう丁寧にブラッシングをし終えると、とんと床に下ろした。
それと同時に、いつかのスケッチが終わった。
「描けました。……どうでしょうか? 似てますかね」
Zの方向にスケッチブックを見せると、Zはとことことスケッチブックの方向に歩いていった。まじまじとイラストを見る。
「まあまあだな。ふとりすぎてないか?」
「猫の方はふくふくとしているほうが人間の間では魅力的だといわれているのですよ」
いつかはにっこりとZに微笑んだ。
それを見て、総一郎は笑い始めた。
/*/
Zは今日も政庁城で丸まっている。
「おー、Z。この間松井の所に行ったんだって?」
「ああ。どんな酔狂な奴らかと思ったら、気持ちのいい奴らだった」
「ほー、そりゃよかったよかった。あら。何。男前に描いてもらったじゃない」
「フッ……」
是空とおる藩王が目線を向けた先。
Zの普段丸まっている政庁城には、スケッチブックが飾られていた。
Zが目を細めてブラッシングされている姿が描かれていた。
<了>
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