古島三つ実@羅幻王国@護民官さん依頼SS
秋の園にて漢が二人
天晴れとも言うべき晴天の下。
二人の漢が秋の園を歩いていた。
筋肉隆々な二人の漢は、兄はセイ、弟はファイと言った。
真の漢はこの筋肉の素晴らしさを背で語るものであり、隠すなど言語道断。故に、この兄弟は褌で歩いていた。
「ほーっっ」
兄弟は歓心して辺りを見回していた。
秋の園の名物は紅葉。赤の深いグラデーションが彩る道は何とも言えず風流なものであった。
真の漢というものは、価値の分かるものの事を言う。
さらさら。
「む?」
兄弟が音のする方向を見た。
川が流れていた。
川の水は美しい。時々流れる川は岩に当たり、水しぶきを上げる。
キラキラキラキラ。
「おお、あそこがいい!」
「うむっっ!!」
兄弟は喜んで川の方向まで走っていった。
/*/
二人は褌を脱ぎ去り、川に浸した。
ジャブジャブと洗う。
川の上流らしく、流れはやや速いが、その分汚れもきれいに落ちた。
見事な紅葉の下、美しい川で褌を洗う。
風流だ、実に風流なものであった。
「兄者、ここは褌を洗濯するのに最高の環境だな!」
「ああ!」
兄弟はばちゃばちゃと水しぶきを飛ばしながら褌を一心に洗っていた所。
「◇*#$%&!!?★○!?」
文字にするには何と字を当てればいいか困るような謎の大声が聞こえた。
「むっ?」
兄弟は下流の方向を見た。
何やら集団がいる。秋の園の散策にでも来たのであろうか。
あ、婦女子が何人か倒れた。
兄弟は一見ただの全裸であるが、心は全うな騎士の精神を持ち合わせている人物である。
「兄者! 人が倒れている!」
「いかん! たすけねば」
当然、婦女子の危機を放っておくような真似はしないのであった。
兄弟は、ざぶんと水しぶきを上げて飛び降りた。
……褌を手に持って。
水しぶきが下流に飛び散る。
何故か悲鳴が聞こえた気がしたが、人命優先なので置いておく事にした。
/*/
兄弟が下流に飛び降りると、集団は驚愕したような顔をしていた。
そうか、そんなに筋肉が美しいか。
兄弟はそう合点し、見回した。
金髪の少女や灰色の髪の少女、茶色い髪のバンダナをした少女が倒れている。
「ご、ご兄弟なにしてんですか……! とりあえず……おひさしぶりですが……!」
久しぶりにになし国の瑠璃に声をかけられたが、今は人命救助が先である。
「もう大丈夫だ」
セイはそう優しく言うと、倒れているバンダナの少女をふわりと抱きかかえた。
可哀想に、何故このような事になったのか。
彼女の額に湿った褌を乗せた。
何故か大声が聞こえているのは戦争傷害だろうか。こんなワビサビのある場所で位戦いを忘れられればいいのに。戦争とは悲しいものだ。
「さあ、彼女を」
「行くぜ」
兄弟は少女を大事に抱えると、せいやせいやと掛け声を掛けながらどこか休める場所へと運んで行こうとした。
「待ってあなた方が近づくと余計大変なことに!」
少女を運ぼうとする所を割り込まれた。割り込んだ男は先程からずっと大声で叫んでいるが、疲れているのだろう。とりあえずバンダナの少女は置いて運んでいく事にした。
「ご兄弟、せめてふんどしだけでも身に着けてー! その姿は女性には刺激が強すぎますーっ」
人命救助に何故格好をつける必要があるのだろうか。
瑠璃が叫んでいるがとりあえず放っておいた。
運んでいった先で男を下ろすと、とりあえず様子を見てみた。
先程からずっと叫んでいるが別に脈は正常のようだ。
「ご兄弟ー。まってくださーい」
瑠璃が走って追いかけてきた。
おお、彼女はいつも仲間思いだから、今回も叫んでいる男が心配になったのであろう。
仲間思いなのはいい事だ。
兄弟はそう納得して彼女の方を振り返った。
「どうしたんだぜ?」
「ああ。久しぶりだ」
「はい、おひさしぶりです。どちらまでその方を連れてかれるのでしょうか?」
「この先には、男だけの大陸があるという」
「夢を追いかけてみようかと」
この疲れている男もあの伝説の大陸に行けば、恐らく元に戻るであろう。
そう考えての親切なのだが、やはり女には分からないものなのだろうか。
「と、とにかく、そこまで行かなくても。コテージに行けば恐らく元気になりますよ」
瑠璃は少しどもりながらもそう言った。
「そうか」
兄弟は納得した。
「それとご兄弟、その肉体美はすごすぎて見慣れていない方は倒れてしまいます。お願いですから、服を、せめて褌だけでもつけて下さい」
瑠璃はぷいと顔を赤らめて明後日の方向を見る。
うむ。美しいと言う事は罪なものらしい。
「善処する」
とりあえず瑠璃についていく事にした。
コテージには人が集まり、何やらいい匂いも漂っていた。
「涼華さんと晋太郎さんが先程買い物に行ってらっしゃったから、ご馳走ができてますよ。きっと」
「おー」
食事とは皆で食べるものである。
兄弟は瑠璃にうながされるままコテージに入っていった。
彼女の言った通り、心なしか疲れた男も元気になったような気がする。
いい事だ。兄弟はそう思う事にした。
天晴れとも言うべき晴天の下。
二人の漢が秋の園を歩いていた。
筋肉隆々な二人の漢は、兄はセイ、弟はファイと言った。
真の漢はこの筋肉の素晴らしさを背で語るものであり、隠すなど言語道断。故に、この兄弟は褌で歩いていた。
「ほーっっ」
兄弟は歓心して辺りを見回していた。
秋の園の名物は紅葉。赤の深いグラデーションが彩る道は何とも言えず風流なものであった。
真の漢というものは、価値の分かるものの事を言う。
さらさら。
「む?」
兄弟が音のする方向を見た。
川が流れていた。
川の水は美しい。時々流れる川は岩に当たり、水しぶきを上げる。
キラキラキラキラ。
「おお、あそこがいい!」
「うむっっ!!」
兄弟は喜んで川の方向まで走っていった。
/*/
二人は褌を脱ぎ去り、川に浸した。
ジャブジャブと洗う。
川の上流らしく、流れはやや速いが、その分汚れもきれいに落ちた。
見事な紅葉の下、美しい川で褌を洗う。
風流だ、実に風流なものであった。
「兄者、ここは褌を洗濯するのに最高の環境だな!」
「ああ!」
兄弟はばちゃばちゃと水しぶきを飛ばしながら褌を一心に洗っていた所。
「◇*#$%&!!?★○!?」
文字にするには何と字を当てればいいか困るような謎の大声が聞こえた。
「むっ?」
兄弟は下流の方向を見た。
何やら集団がいる。秋の園の散策にでも来たのであろうか。
あ、婦女子が何人か倒れた。
兄弟は一見ただの全裸であるが、心は全うな騎士の精神を持ち合わせている人物である。
「兄者! 人が倒れている!」
「いかん! たすけねば」
当然、婦女子の危機を放っておくような真似はしないのであった。
兄弟は、ざぶんと水しぶきを上げて飛び降りた。
……褌を手に持って。
水しぶきが下流に飛び散る。
何故か悲鳴が聞こえた気がしたが、人命優先なので置いておく事にした。
/*/
兄弟が下流に飛び降りると、集団は驚愕したような顔をしていた。
そうか、そんなに筋肉が美しいか。
兄弟はそう合点し、見回した。
金髪の少女や灰色の髪の少女、茶色い髪のバンダナをした少女が倒れている。
「ご、ご兄弟なにしてんですか……! とりあえず……おひさしぶりですが……!」
久しぶりにになし国の瑠璃に声をかけられたが、今は人命救助が先である。
「もう大丈夫だ」
セイはそう優しく言うと、倒れているバンダナの少女をふわりと抱きかかえた。
可哀想に、何故このような事になったのか。
彼女の額に湿った褌を乗せた。
何故か大声が聞こえているのは戦争傷害だろうか。こんなワビサビのある場所で位戦いを忘れられればいいのに。戦争とは悲しいものだ。
「さあ、彼女を」
「行くぜ」
兄弟は少女を大事に抱えると、せいやせいやと掛け声を掛けながらどこか休める場所へと運んで行こうとした。
「待ってあなた方が近づくと余計大変なことに!」
少女を運ぼうとする所を割り込まれた。割り込んだ男は先程からずっと大声で叫んでいるが、疲れているのだろう。とりあえずバンダナの少女は置いて運んでいく事にした。
「ご兄弟、せめてふんどしだけでも身に着けてー! その姿は女性には刺激が強すぎますーっ」
人命救助に何故格好をつける必要があるのだろうか。
瑠璃が叫んでいるがとりあえず放っておいた。
運んでいった先で男を下ろすと、とりあえず様子を見てみた。
先程からずっと叫んでいるが別に脈は正常のようだ。
「ご兄弟ー。まってくださーい」
瑠璃が走って追いかけてきた。
おお、彼女はいつも仲間思いだから、今回も叫んでいる男が心配になったのであろう。
仲間思いなのはいい事だ。
兄弟はそう納得して彼女の方を振り返った。
「どうしたんだぜ?」
「ああ。久しぶりだ」
「はい、おひさしぶりです。どちらまでその方を連れてかれるのでしょうか?」
「この先には、男だけの大陸があるという」
「夢を追いかけてみようかと」
この疲れている男もあの伝説の大陸に行けば、恐らく元に戻るであろう。
そう考えての親切なのだが、やはり女には分からないものなのだろうか。
「と、とにかく、そこまで行かなくても。コテージに行けば恐らく元気になりますよ」
瑠璃は少しどもりながらもそう言った。
「そうか」
兄弟は納得した。
「それとご兄弟、その肉体美はすごすぎて見慣れていない方は倒れてしまいます。お願いですから、服を、せめて褌だけでもつけて下さい」
瑠璃はぷいと顔を赤らめて明後日の方向を見る。
うむ。美しいと言う事は罪なものらしい。
「善処する」
とりあえず瑠璃についていく事にした。
コテージには人が集まり、何やらいい匂いも漂っていた。
「涼華さんと晋太郎さんが先程買い物に行ってらっしゃったから、ご馳走ができてますよ。きっと」
「おー」
食事とは皆で食べるものである。
兄弟は瑠璃にうながされるままコテージに入っていった。
彼女の言った通り、心なしか疲れた男も元気になったような気がする。
いい事だ。兄弟はそう思う事にした。
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