鷺坂祐介@星鋼京さん依頼SS
青空の下の微笑み
~呪われろ
決してお前達が結ばれぬように竜の呪いをかける~
/*/
彼の様子がおかしいとかすみが感じるようになったのはつい1ヶ月前だった。
いきなり無断で学校を休み始めたのだ。
あれから1月。ろくに会話をしていない。
あれから自分も変になったのだろうか? 自分も彼とあまり接点を持たなくなったように思える。
そんな時だった。告白をされたのは。
「ずっと前から好きでした。付き合って下さい」
面食らった。自分に「好き」と言ってきたのは、彼を含めて2人目だった。
相手はバスケットボール部の先輩。爽やか好青年って感じだ。
付き合うには、人の手前でもいい相手だろう。
でも、何かが違う。
かすみは首を傾げた。
何でこんなに心の中がもやもやするのだろう。
告白を受けてはいけない気がする。でも何でだろう?
私が誰と付き合おうと自由なはず。でも違う。何かが違う。
かすみは呪いを受けていた。好きな相手とは決して結ばれない貝神様の呪い。
でもかすみ自身はその事に全く気付いていなかった。
しかし、呪いはかけられていても、彼女の心を心底から縛る事はできなかった。
バスケ部の先輩としゃべっている所に、彼が現れた。
「失礼しますー。竹刀、取らせてください。」
「どうぞ。いこう、かすみ」
「あ、うん」
彼を見た瞬間。
かすみはぐるぐるしていた。
何かが違う。何かが違う。
「あ。かすみ、話があるんだけど、後でいい?」
彼が話しかけてきた。
ちらりと彼の顔を見た。
心配そうな、真剣そうな顔。
かすみはどうすればいいか分からず、とりあえず笑った。
人は訳が分からない時、とりあえず笑う。
「部活あるから、またこんど」
「ちょっと大事な話なんだけどさ。」
彼は真剣な顔でかすみと向き合う。
「今日、お願いしたいんだけど。やっぱ無理?」
先輩が「かすみ、早く」とせかしている。
かすみは曖昧に笑った後、先輩の後をついていった。
取り残された彼の、悲しそうな顔は見たくなかった。
何でこうなったんだろう?
かすみはちくりと胸に何かが刺さったような、そんな感覚を受けていた。
/*/
「昨日言ってた大事な話なんだけど、しばらく学校出れなくなるかもなんだ。だから、ここで書いておくね。
かすみが好きです。付き合ってください。」
彼からの手紙が届いた。
彼はまた、学校に来なくなるらしい。
何でだろう。何で胸が苦しいんだろう。
かすみは首を傾げた。
自分の気持ちが分からなかった。
呪いは、彼女の心を鈍く重くしていた。
その日も、かすみは遅刻しそうになって走っていた。
走って走って走って。
「おーい! おはよう!!」
気付けば彼も一緒に走っていた。
かすみは振り返る。
「……おはよう」
「おはよう! 手紙はゴメン、かすみが好きな事は本当だった。」
彼は続けた。
「でも、これからは目の前の風住(かすみ)を好きになろうと思う! だから。風住、付き合ってください。」
かすみは目を見開いた。
胸の中の霧が、一気に晴れ上がったような、そんな感覚を覚えた。
「……」
彼の瞳をじっと見る。
彼の瞳の中には、自分が映っていた。
「いいけど」
「ありがとう! ……遅刻、するよ? 競争、する?」
彼は笑っていた。
かすみ、改め風住はむー、となったが、まあいっかと考え直した。
自然と笑みが浮かぶ。
彼に手を伸ばした。
彼は風住の手を取った。
そのまま二人は手を取り合って走る。
「自分は伯牙じゃなくて、鷺坂祐介。よろしくね!」
彼の……鷺坂祐介の顔には大きく笑みが浮かんでいた。
風住も一緒に笑った。
青空の下、二人の笑顔が輝いていた。
~呪われろ
決してお前達が結ばれぬように竜の呪いをかける~
/*/
彼の様子がおかしいとかすみが感じるようになったのはつい1ヶ月前だった。
いきなり無断で学校を休み始めたのだ。
あれから1月。ろくに会話をしていない。
あれから自分も変になったのだろうか? 自分も彼とあまり接点を持たなくなったように思える。
そんな時だった。告白をされたのは。
「ずっと前から好きでした。付き合って下さい」
面食らった。自分に「好き」と言ってきたのは、彼を含めて2人目だった。
相手はバスケットボール部の先輩。爽やか好青年って感じだ。
付き合うには、人の手前でもいい相手だろう。
でも、何かが違う。
かすみは首を傾げた。
何でこんなに心の中がもやもやするのだろう。
告白を受けてはいけない気がする。でも何でだろう?
私が誰と付き合おうと自由なはず。でも違う。何かが違う。
かすみは呪いを受けていた。好きな相手とは決して結ばれない貝神様の呪い。
でもかすみ自身はその事に全く気付いていなかった。
しかし、呪いはかけられていても、彼女の心を心底から縛る事はできなかった。
バスケ部の先輩としゃべっている所に、彼が現れた。
「失礼しますー。竹刀、取らせてください。」
「どうぞ。いこう、かすみ」
「あ、うん」
彼を見た瞬間。
かすみはぐるぐるしていた。
何かが違う。何かが違う。
「あ。かすみ、話があるんだけど、後でいい?」
彼が話しかけてきた。
ちらりと彼の顔を見た。
心配そうな、真剣そうな顔。
かすみはどうすればいいか分からず、とりあえず笑った。
人は訳が分からない時、とりあえず笑う。
「部活あるから、またこんど」
「ちょっと大事な話なんだけどさ。」
彼は真剣な顔でかすみと向き合う。
「今日、お願いしたいんだけど。やっぱ無理?」
先輩が「かすみ、早く」とせかしている。
かすみは曖昧に笑った後、先輩の後をついていった。
取り残された彼の、悲しそうな顔は見たくなかった。
何でこうなったんだろう?
かすみはちくりと胸に何かが刺さったような、そんな感覚を受けていた。
/*/
「昨日言ってた大事な話なんだけど、しばらく学校出れなくなるかもなんだ。だから、ここで書いておくね。
かすみが好きです。付き合ってください。」
彼からの手紙が届いた。
彼はまた、学校に来なくなるらしい。
何でだろう。何で胸が苦しいんだろう。
かすみは首を傾げた。
自分の気持ちが分からなかった。
呪いは、彼女の心を鈍く重くしていた。
その日も、かすみは遅刻しそうになって走っていた。
走って走って走って。
「おーい! おはよう!!」
気付けば彼も一緒に走っていた。
かすみは振り返る。
「……おはよう」
「おはよう! 手紙はゴメン、かすみが好きな事は本当だった。」
彼は続けた。
「でも、これからは目の前の風住(かすみ)を好きになろうと思う! だから。風住、付き合ってください。」
かすみは目を見開いた。
胸の中の霧が、一気に晴れ上がったような、そんな感覚を覚えた。
「……」
彼の瞳をじっと見る。
彼の瞳の中には、自分が映っていた。
「いいけど」
「ありがとう! ……遅刻、するよ? 競争、する?」
彼は笑っていた。
かすみ、改め風住はむー、となったが、まあいっかと考え直した。
自然と笑みが浮かぶ。
彼に手を伸ばした。
彼は風住の手を取った。
そのまま二人は手を取り合って走る。
「自分は伯牙じゃなくて、鷺坂祐介。よろしくね!」
彼の……鷺坂祐介の顔には大きく笑みが浮かんでいた。
風住も一緒に笑った。
青空の下、二人の笑顔が輝いていた。
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