2011年07月07日
- 2011/07/07 芸事奉納
芸事奉納
七夕。
空はやや曇ってはいるものの、雨が降ったおかげで涼しく、気持ちのいい風が吹いていた。
子供は「これやったら織姫様も彦星様もずっと会える日待っとったのに、汗疹にならんでええねえ」と言って、やや汗ばんだ肌をぽりぽりと掻いた。
その仕草に、母親は思わず笑った。
二人は、今晩のためにせっせと七夕飾りを作っていたのだった。
笹に色とりどりの短冊を掛けた後、母親は子供を手招きした。
「じゃあ、織姫様と彦星様が会えるよう、おうまさん作りましょうねー」
「はーい」
小さな子供が母親に教わったのは、きゅうりの胴に割り箸を突き刺した馬だった。
精霊馬と呼ばれるものである。
「お母さん、何でおうまさん作るん?」
「この世に早く帰って来れますようにって。おうまさんやったら早う家に帰れるやろう?」
「でも、早いんやったら、車でも飛行機でもええんとちゃうのん?」
「ううん。おうまさんやないといかんのよ。車や飛行機やったら、「早く早く」言うても、早さは変わらん。でも、おうまさんやったら、早く帰りたいって気持ちを分かってくれるんよ? だっておうまさんは人の気持ちを分かるのだもの」
「ふうん……」
子供が小さな手で不器用にきゅうりに刺した割り箸は、大股になって不格好になってしまっている。
でも、だからこそ、大きく飛べるのかもしれない。
前足と後ろ足が大きく開いているのだから。
「会えるよね」
「うん、会えるよ」
親子で一生懸命おうまを作っている間に、気付けば空は晴れていた。
二人の作ったおうまは、ちょうど七騎。
これに乗る七人の乗り手はどのような者かは、まだ親子は知らない。
空はやや曇ってはいるものの、雨が降ったおかげで涼しく、気持ちのいい風が吹いていた。
子供は「これやったら織姫様も彦星様もずっと会える日待っとったのに、汗疹にならんでええねえ」と言って、やや汗ばんだ肌をぽりぽりと掻いた。
その仕草に、母親は思わず笑った。
二人は、今晩のためにせっせと七夕飾りを作っていたのだった。
笹に色とりどりの短冊を掛けた後、母親は子供を手招きした。
「じゃあ、織姫様と彦星様が会えるよう、おうまさん作りましょうねー」
「はーい」
小さな子供が母親に教わったのは、きゅうりの胴に割り箸を突き刺した馬だった。
精霊馬と呼ばれるものである。
「お母さん、何でおうまさん作るん?」
「この世に早く帰って来れますようにって。おうまさんやったら早う家に帰れるやろう?」
「でも、早いんやったら、車でも飛行機でもええんとちゃうのん?」
「ううん。おうまさんやないといかんのよ。車や飛行機やったら、「早く早く」言うても、早さは変わらん。でも、おうまさんやったら、早く帰りたいって気持ちを分かってくれるんよ? だっておうまさんは人の気持ちを分かるのだもの」
「ふうん……」
子供が小さな手で不器用にきゅうりに刺した割り箸は、大股になって不格好になってしまっている。
でも、だからこそ、大きく飛べるのかもしれない。
前足と後ろ足が大きく開いているのだから。
「会えるよね」
「うん、会えるよ」
親子で一生懸命おうまを作っている間に、気付けば空は晴れていた。
二人の作ったおうまは、ちょうど七騎。
これに乗る七人の乗り手はどのような者かは、まだ親子は知らない。
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