忍者ブログ記事別アクセス推移 多岐川さんのアイドレス日記: 2009年04月
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2009年04月

  1. 2009/04/28 4ヶ月ぶりのデート(らしい)
  2. 2009/04/27 4ヶ月ぶりのデート
  3. 2009/04/26 夜國涼華@海法よけ藩国さん依頼SS
  4. 2009/04/03 松井@FEGさん依頼SS

4ヶ月ぶりのデート(らしい)

多岐川佑華 :こんばんはー21:00からの生活ゲームに来ましたー

芝村裕吏さん :記事どうぞ

多岐川佑華 :

【予約者の名前】03-00058-01:多岐川佑華:FEG
【実施予定日時】2009年4月28日/21:00~22:00
【予約の有無】予約 有り(10マイル)
【召喚ACE】
 ・小カトー・多岐川:個人ACE:0マイル
【参加プレイヤーの食糧消費】3マイル×1人
【合計消費マイル】計33マイル
【参加者:負担するマイル】
 ・03-00058-01:多岐川佑華:-33マイル:入学済
#藩国マイルを使用する場合は以下の行のように記載してください。
 ・03-00058-01:多岐川佑華:-33マイル

#今回は誕生日枠を頂いたので0マイルになります。

多岐川佑華 :イベント選択の前に質問とl:通してよろしいでしょうか?

芝村裕吏さん :ええ

多岐川佑華 :ありがとうございます。

多岐川佑華 :Q1:前に生活ゲームしてから既に4ヶ月以上経過しておりますが、もしかして小カトーの感情値下がってるでしょうか?

Q2:小カトーはどうしたらデレるでしょうか?(すみません、何度考えても今日何するか思いつきませんでしたっっ)

Q3:夢の剣の事とか色々言われているのですが、今日ゲームして大丈夫でしょうか?

Q4:小カトー、芹沢のゲームでコゼットの所に行ってたみたいなのですが、何しに行ってたのでしょうか?(私が直接聞いたら小姑みたいに問い詰めそうなので……)*1

l:多岐川佑華は灰色のウィッグをつけている=側面:多岐川の髪の色がピンク色ではなくなり、小カトーが萎縮する事がなくなる。

l:多岐川佑華は小カトーからもらったバンバンジー変身の指輪セットを左薬指につけている=側面:多岐川本人が満足する。*2

芝村裕吏さん :A1:わからない

芝村裕吏さん :A2:? 普通に甘えたら?

芝村裕吏さん :A3:まあ、コゼット当たりにいけば大丈夫

芝村裕吏さん :A4:地上みにいってたらしい

芝村裕吏さん :通った

多岐川佑華 :ありがとうございます……

多岐川佑華 :本当はコゼットの所に行ったらコゼットの前でいちゃつくのもどうかと思ったんですが、何かあったら嫌なので、コゼットのお茶会に行きます……

芝村裕吏さん :はい。2分待ってね。

多岐川佑華 :おやつと今日の服です

多岐川佑華 :はいー

芝村裕吏さん :/*/

芝村裕吏さん :ここはFEGだよ。

芝村裕吏さん :騒然としている

多岐川佑華 :Q:FEGのどこら辺でしょうか? 地上とかビルの上とか

芝村裕吏さん :A:地上だよ

芝村裕吏さん :上を見れば柔らかな光がさしている。

芝村裕吏さん :多くの人々が不安そうに話をしている*3

多岐川佑華 :「うにゃー……」少ししゅんとしつつ小カトー探します

多岐川佑華 :「ショウ君? ショウ君ー」r:ピンク髪探しています

芝村裕吏さん :みつけた。

芝村裕吏さん :小カトーは貴方をみつけて、寄ってきた

多岐川佑華 :「ショウ君ー」r:抱き付きます

小カトー:「無事でよかった」

多岐川佑華 :「うん、ショウ君も無事でよかった。いっぱい何かあったって聞いた。本当によかった……」少し泣きつつ小カトーにすりすりしています

ショウ:「んー。正直、みんな動揺してるよ」

ショウ:「悪いこと、続きすぎだ」

多岐川佑華 :「うにゃん。ごめんなさい……」しゅんとしています

芝村裕吏さん :ショウは微笑んだ。

芝村裕吏さん :貴方の頭をなでた。

多岐川佑華 :「うう……」r:素直に撫でられています

ショウ:「やれやれだな・・・」

多岐川佑華 :「ショウ君に会うのね、本当に久しぶりだから、楽しい事したいって思ってたけど。でもどうしたらいいのかよく分からない。自分だけ楽しいの、不公平な気がするから」不安げな人達を小カトーにくっつきながら見ています

ショウ:「ま、人生なんてそんなもんだよ」

芝村裕吏さん :ショウは貴方を座れるところへ連れて行った。

多岐川佑華 :r:小カトーについていきます

芝村裕吏さん :ベンチがある

多岐川佑華 :小カトーと一緒に座ります

多岐川佑華 :「あのね、クッキー作ったんだよ」持って来たクッキー出します

ショウ:「いいねえ。たべるたべるー」

多岐川佑華 :「見た目無茶苦茶悪いけどね。レンジで作ったら焼け目付かないし、つけようとしたら消し炭になるから」*4

芝村裕吏さん :ショウはうなずいた

多岐川佑華 :「はいどうぞー」包み開いて一緒に食べます

芝村裕吏さん :ショウはうまそうにたべている。

芝村裕吏さん :ショウは緑の地上を見た。

芝村裕吏さん :微笑んだ

多岐川佑華 :「キレイだねー。砂漠の国だったのに。ビルいっぱいで不安だったけど、今は何か安心する。昔とは大分違うのにね」*5

ショウ:「そだね」

ショウ:「問題は、どうなるかだなあ」

多岐川佑華 :「悪夢とか、共和国の不信とかだねー」

多岐川佑華 :「難しいなあ。政策とかはさっぱりだ」

芝村裕吏さん :ショウは笑った。

ショウ:「俺もだよ」

芝村裕吏さん :なでられた

多岐川佑華 :「うにゃん」素直に撫でられています

ショウ:「かわいい」*6

多岐川佑華 :「ふえ?」r:顔真っ赤にしています

ショウ:「?」

多岐川佑華 :Q:この子どこでこんなの覚えてきたんでしょうか……今までそんな事言った事一度もなかったんですが……

芝村裕吏さん :A:さあ*7

多岐川佑華 :「悲しい事とかあっても、好きな人と一緒にいられたら案外何とかなるのにね……共和国の人達に伝えられたらいいのになあ……」

ショウ:「たぶん。それがやばいからあせってんだろ。みんな」

ショウ:「安全だ。安心だってことを、証明しなきゃ」

多岐川佑華 :「うん……安心の証明かあ」

芝村裕吏さん :ショウは頭かいた。

ショウ:「ま、やるだけやるかー」

ショウ:「のまえに」

多岐川佑華 :「?」小カトーの顔を見ています

芝村裕吏さん :#いきなり抱きしめられた

多岐川佑華 :「!!」ぎょっとして小カトー見ています

多岐川佑華 :r:泣き出します*8

ショウ:「ごめん。こわがらせた?」

多岐川佑華 :「ううん」

多岐川佑華 :「ただずっと会いたかったから。会ったらぎゅーしようと思ってたけど、上手くできなかったから」

多岐川佑華 :「大好き」

ショウ:「うん。おれもーって当然だろ!?」

芝村裕吏さん :えーという顔してる

芝村裕吏さん :ショウは微笑んだ。

芝村裕吏さん :もっかいぎゅーした

多岐川佑華 :「にゃー」ぎゅーしています

ショウ:「うん。ちょっくらまあ、安全を訴えるかなあ」

多岐川佑華 :「? 何するの?」小カトー見ています

ショウ:「まずは大統領に相談だ」*9

多岐川佑華 :「うん」

ショウ:「えーと。まず、大統領の声明かなあ」

多岐川佑華 :「ちゃんと大統領が言えばとりあえず話は聞いてもらえるかなあ」

芝村裕吏さん :ショウはうなずいた

ショウ:「今度あったらさ・・・」

多岐川佑華 :「なあに?」

ショウ:「デートでもするか」*10

ショウ:「だめ?」

多岐川佑華 :「!! うん!!」もう一度ぎゅーした後唇にキスします

芝村裕吏さん :ショウは笑った

芝村裕吏さん :/*/

芝村裕吏さん :はい。お疲れ様でした

多岐川佑華 :お疲れ様ですー(何か涙止まらないらしい

芝村裕吏さん :評価は+1+1でした。秘宝館には1,1で依頼できます

多岐川佑華 :評価値って現在合計どれ位でしょうか?

芝村裕吏さん :6,6

多岐川佑華 :下がってる下がってるー(しくしくしくしく

多岐川佑華 :小カトープロモしても大丈夫でしょうか? PLACE出るかどうかはともかく

芝村裕吏さん :ええ。

多岐川佑華 :了解しました。小カトー・多岐川(ACE)のプロモーションをお願いします

多岐川佑華 :掲示板に申請投げておきますー

芝村裕吏さん :では解散しましょう。おつかれさまでしたー

多岐川佑華 :お疲れ様ですー

*1:芹沢のゲームをリアル時に観戦していて卒倒しかけたのみの心臓のPL。浮気の心配はないとは思うけど、知らない間に違う女の子の所に行ったのが面白くなかったらしいです。
*2:かなりどうでもいい話、PCは左利きですので、結婚指輪は右につけます。
*3:共和国捨てて帝國に行こうとする話はたくさんありましたが、うちの国の人達は幸いまだ考えてくれていたようです。
*4:簡単クッキーの作り方。1:砂糖とバターと卵を混ぜて、混ざったものにホットケーキミックスを混ぜる。2:適当な大きさすくってオーブンシートの上に落として2分から3分チンする。細かいレシピは検索したら出ると思います。
*5:コゼットを是空大統領が国に呼んでから、彼女が国を緑溢れる国に変えたようです。砂漠の国→コンクリートジャングル→緑の国。すごい遍歴だなあ……。
*6:この子にそんな口説き文句言われたのは、これが初めてでした……。
*7:前にこの所小カトーが優しいので「この子何かあったんですか!?」と度々聞いては「特に何もないよ」と答えられている人。
*8:久しぶりすぎてどうすればいいか分からず、どう甘えればいいか分からなかったらぎゅーされ、PLパソコンの前でマジ泣き(アホ過ぎる)。
*9:小カトーとACE是空藩王(大統領版)は仲良しです。初めてそれ聞いた時、「戦闘機>メカ>見えない壁>>是空藩王>自分?」と言う構図が浮かんで落ち込んだのは内緒の話です。
*10:今度は落ち着いてデートができれば幸いです。
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4ヶ月ぶりのデート

4ヶ月ぶり

クッキー作りました


今日の持ち物:クッキー


SS


 多岐川佑華は挙動不審にガクガク揺れていた。
 芹沢琴(出かける前)は呆れた顔で「またか」と見ていた。

「ネエ、芹沢」
「何ですか。と言うか何で片言なんですか佑華さん。アンタ何人ですか」
「しょう君私ノ事覚エテイルカナア……4ヶ月会ッテナインダ」

 何言ってんだこの女。
 芹沢は呆れた顔で多岐川を見ていた。

「あなたこの間電話かけた所じゃないですか!!」
「4月ニ入ッテカラまいるナクテ電話一度モカケテナイヨ」
「誕生日プレゼントもらったって喜んでいたじゃないですか」
「忘レラレテルカモシレナイ」
 途端るーるるーと泣き始めた。
 ちなみに挙動不審なのはいつもの事だし、マイナス思考なのもデフォルトなのだが、いささか今回は度が過ぎている。
「佑華さん、あなた少しは小カトーさんの事信じてあげなさいな。小カトーさんは別に佑華さんの事忘れたりしませんよ」
「? しょう君ノ事ハ信ジテルヨ?」
「はあ……?」
「信ジテナイノハ私自身デアッテしょう君ジャナイヨ?」

 ……この人本当どうしよう。

「アト」
「……何ですか?」

 正直芹沢は多岐川に対するツッコミ疲れで疲労困憊である。

「でーとッテ何スレバイインデショウ?」
「アンタ何しに行くんですか」

 もっともなツッコミである。

「でーとシナサイト言ワレテ考エタケド、普通ノでーとッテ何スルカ分カラナインダ。ドウシヨウ」
「……聞けばいいじゃないですか」

 ちなみに多岐川、これ聞いて約2ヶ月悩み続けているが、よく分からなかったらしい。
 頭にラフレシア咲いたようにゆらゆら揺れながら、多岐川が去って行くのを、芹沢は疲れた目で見送っていた。

「……私も恋愛したらああなるんですかねえ」

 目がうつろであった。

夜國涼華@海法よけ藩国さん依頼SS

 特別な日にて


 海法よけ藩国は、全面砂漠の国であった。
 夜國涼華は大荷物を抱えて、キョロキョロと周りを見回しながら歩いた。
 暑い。
 森国とは思えないほどに暑かった。
 木は熱を吸い取るするのだが、今は吸い取ってくれる木もなく。
「あ、暑いです……」
 涼華はクラクラしながら、それでも懸命に歩いた。
 久しぶりに晋太郎さんに会うのだから、おしゃれしようと思って張り切ってドレスを着てきたのに、汗で服が張り付いて、上手く砂の上を歩けない。
 それでもヒールの高い靴を履いたのが幸か不幸か、砂に足を取られる事はなかった。

 シャクシャクシャク。
 砂の上に独特な足音が響く。
 ふいに、陽炎が見えた。
 え、森国で陽炎……?
 涼華がありえないはずの光景に目を凝らしていると、陽炎が揺れ、そこから晋太郎が現れた。

「晋太郎さん!!」

 涼華はシャシャシャシャと、砂が重い事も忘れて寄っていった。

「暑いね」

 晋太郎はこの暑さも気にせず、いつもの白い服を纏っていた。
 ふいに涼華を指で指した。

「え……?」

 吹き出るを通り越して垂れ流れていたはずの汗が止まった。
 替わりにスウーッと清涼感が自分を包んでいるように感じた。
 ああ、晋太郎さんの冷却魔法だ。

「ふわぁ、ありがとうございますー。これで、晋太郎さんにだきつけます」

 涼華はそう言ってにこにこ笑っていた。
 晋太郎もそれを見て笑い返していた。

「あの、お誕生日、おめでとうございます。どうしてもお祝いしたくて…」

 そう言ってシャシャシャと晋太郎に近寄っていったのだが。

「ありがとう」

 晋太郎はトントンと避けた。
 何で?
 涼華は少しガーンとしたが、それはおくびに出さない事にした。

「それから、うさぎさん、ありがとうございました」

 少し離れた晋太郎に向かってそう言った。
 バレンタインデーにチョコを送ったお返しにもらったのは、大きなうさぎのぬいぐるみであった。
 涼華はその子にクラウンと名付けて大事にしている。

「いえいえ。どういたしまして」
「すみません、このような状況で…」

 そう言い、周りを見回した。
 いつも踏んでいた土は少し湿っているけれど確かにここは土だと踏み締められたのに、今の地面は砂で、踏み締めようとしたら踏み抜いてしまう位に危うい。
 いつも青臭い匂いがしていた気がするのに、今はサラサラした砂の埃っぽい匂いしかしない。
 自分達が失ったものは、思っているよりも大きいのだ。

「すごいよね。なにやったらこうなるんだか」
「はい…一面、砂漠ですものね…」
「うん」

 晋太郎は涼華と同じく視線を砂漠に向けていた。
 周りは建物が砂に埋まっていた。
 シュールな光景である。
 建物の持ち主らしい人々はスコップで砂を掘っていた。

「植林なども行う、と言うお話も聞きますが、あたしも詳しくは携わってないもので、状況に詳しくなくて…。ネコリスさんが帰ってこれるこれない以前のお話になってしまいました」
 涼華はそう言ってしゅんとしていた。
 自分の力の及ばない範囲で、自分の身内が悲しむのは、やはり悲しい。
 自分の無力さを思い知らされて。
「うん。まあ、僕も手伝うよ」
 晋太郎は涼華を慰めるように少しだけ近づき、寄り添った。
「ありがとうございます」
 涼華は少しだけ晋太郎に肩を預けた。
 預けて気が付いた。

「晋太郎さんのおうちも砂に埋まってしまいましたか?」
 見上げると、晋太郎は軽く首を振った。
「埋まる以前に、ばらばらだよ。あとかたもない」
 そうあっさり言ってのけたのに、涼華は絶句した。
「そうでしたか…ごめんなさい、あたし…」
「ううん。いいさ。みんな同じさ」
 涼華がしゅん。とすると、晋太郎は優しくそう言った。
 涼華が晋太郎を見上げると、晋太郎は微笑んで、涼華の顔を覗いていた。
 全部見透かされているようで、涼華は思わずぽろり……と涙をこぼした。
「素直に言うと。晋太郎さんが今どうしてるんだろうとか、すごく気になって。聞きたくて。でも、晋太郎さんが言いたくないとか聞いて欲しくないなら聞いちゃいけないって…そう思ったらぐるぐるして…」
 顔が熱い。
 今は冷却魔法がかかっているから砂漠のせいではないはずだけど。
 涼華の顔を覗いていた晋太郎は微笑んだまま口を開いた。
「好きだよ」
「!」
 涼華は晋太郎の顔をまじまじと見た。
 彼の瞳の中には、ちゃんと自分が映っていた。
「あ、あたしも! 大好きです!」
 涼華は我慢できず、そのまま嗚咽を上げて泣き始めた。
 晋太郎はいつものように涼華の頭を撫でていた。
「あたし、晋太郎さんに、頭撫でてもらうのも好きです」
「そっか」
 晋太郎は涼華をさらに撫でた。
 晋太郎の撫でるリズムは心地いい。手が大きいのも、髪に手が滑るのも。
「よしよし」
 ようやく晋太郎が手を離した時には、涼華も泣き止み、自然と笑みが浮かんでいた。
「情けないことに、いつも、晋太郎さんともっと逢ったり一緒にいたりするにはどうしたらいいのか、考えてしまいます」
 晋太郎が手を離す瞬間、そんな言葉が自然と出た。
「ぎゅーしたりとか、嬉しいこと、伝えたり。そういうのをもっと晋太郎さんと出来るようになるには、って悩んで、それでぐるぐるしちゃって」
「うん」
 告白みたいだなあ。
 涼華はそう思った。
 どちらが照れるかはよく分からないけれど。
 対する晋太郎はきょとんとした顔で聞いていた。
「晋太郎さんのこと、何も考えずにやっちゃったら、どうしようって」
「?」
「上手く言えませんが、晋太郎さんの思いを置いてけぼりにして、自分が暴走して、それで晋太郎さんを傷付けるのが怖いです」
「大丈夫だよ」
 晋太郎さん、意味分かってくれたのかなあ?
 涼華はそう思って晋太郎の表情から真意を汲み取ろうとした。
 晋太郎はにこにこ微笑んでいた。
 ……もしかすると、やっぱりよく分かってない?
 涼華は何とか分かってもらおうと、涙をこらえて言葉を搾り出した。
「あたし、晋太郎さんに、真名のお話とかもしてない。本当は伝えたいけど、タイミング逃しちゃうことも」
「よしよし。まだ小さいんだから。そういうこともあるよ」

 ……あれ?
 涼華は晋太郎をよく見た。
 晋太郎は相変わらずニコニコ笑っていた。

「ぷー、こ、子供じゃないモン!」
 涼華は涙もどこへやら、頬をパンパンにして脹れた。
「焦っちゃうんです…あたし…」
 涼華がしゅん……と再び沈んだのを、晋太郎は「よしよし」と撫でた。
 涼華は砂の上にポン、と荷物を置くと、そのまま晋太郎の懐に飛び込んだ。晋太郎がそれを軽く抱きとめた。
 今日はヒールが幸いして、晋太郎に近い。
 そのまま少しだけ背伸びをして、頬ずりした。
 晋太郎が揺れている。
 ……もしかして、笑ってるの?
「あたしが焦って、晋太郎さんがいなくなっちゃうのが、怖いです…」
「大丈夫大丈夫。軽くよけるから」
 !
 涼華はビクリと身体をはねさせた。
 晋太郎はよく分かってなさそうに、腕の中の涼華の頭を撫でていた。
「それは、どれを避けるですか!?」
「??」
 晋太郎はやはり、よく分かってなさそうであった。
 いや、全く分かってないのかもしれない。
 涼華はどうしようと途方に暮れたが、開き直って晋太郎の首に手を回し、再度抱き付いた。
「そんな晋太郎さんも、大好きです」
「ありがとう。僕も大好きだよ」
 そのまま、しばらく抱き合っていた。


/*/


 折角晋太郎さんの誕生日だったのに、いっぱい愚痴言った。
 その後、涼華はしょぼんとした。
 子供扱いされているのにもショックだったが、それでも、まあいっかと思う事にした。
 一緒にお菓子を作る約束をした。
 一緒にお菓子を作って、一緒に食べて。
 そして、また笑って欲しい。
 クラウンをギューッとした。
 彼が誕生日に見せた笑顔は、今年見た笑顔で、一番の笑顔だったのだから。

松井@FEGさん依頼SS

 星を見て話を紡ぐ


 夜空は明るい。
 太陽の恩恵を受けないこの空を明るいと言うと、人はそれを「変」だと言うであろう。
 しかし、よく見て欲しい。
 空の深く暗い色は、一見するとただの暗闇にしか見えない。
 ただ、よく見るとそうでもないと言う事に気付くだろう。
 深い紺碧。その紺碧も、月の近くだと群青に近くなり、星に近くなると深紫に近くなる。
 星も同じ。
 一見頼りない光も、集まればそれは光の洪水となる。
 目を凝らせば、白、赤、黄と、淡い光で光っているのが分かる。
 昼間ほどの明るさはないが、この光を見て、心安らぐ事もあるだろう。
 その星の洪水を、ただの洪水にしてしまうのは可哀想と思った人々がいた。
 彼らは星に名前をつけた。
 古くからの魔法で、名前をつけると力が宿る。
 少なくとも、名前をつけた人々にとって、空はうんと近いものとなった。
 一つつけたら他にもつけたくなった。
 空の星に一つ一つ。
 やがて星はただ遠いだけの存在ではなくなり、友と呼ばれる程親しいものとなった。
 その営みは古代から、そして今も続くものである。


/*/


 FEG。
 共和国の大国の一つであるその国の一角にある喫茶いつか。
 もう店も閉められ、喫茶店を営む松井夫婦は庭に出て星を見ていた。
 空は曇っていたが、やがて晴れた。
 都会で星の洪水とは行かないが、雲がふんわりと包んだ淡い光が心地いい。
 その夜は朧月夜であった。

「天の川、ってこちらにもあるのですか?」
 妻のいつかが言った。その日は手製の浴衣を羽織っていた。
「天体に限って言えば、全部同じだな。大きいほど世界共通になるのさ。太陽がない世界はない」
 夫の総一郎が答えた。いつかの手製の浴衣をゆったりと着ている。
 なるほど。確かにそうかもしれない。
 いつかはそう思った。
 太陽がないと確かに困るかも。月だって光らないし、星だけだったら頼りないかも。
 空を見上げる。
 見覚えのある星を線で繋げてみる。
 三角になった。
 他の星はよく分からない。
「うーん、夏の星座は、大三角形くらいしかわかりません。しかも理科の授業程度の知識で」
「星座はあまり気にしないでいいな。それは、星を楽しくしない。星の愉しみ方は、気に入ったら、名前を調べるだ」
「なるほど」
 いつかは記憶を辿り、教科書に書いてあった星の名前を思い出した。
 上がベガ、左がデネブ、隣がアルタイル……。
 テストで一生懸命思い出して書いてみてもちっとも実感がなかったものが、今は空を見上げると瞬いていると言う不思議。
 ふと、思い出した。
 彼と同じく星を見る人々の事を。

「話は変わりますが、星見司の人たちが星を見る、のとはまた違うのですかね、こういうのは」
 いつかの問いに、総一郎は不思議そうな顔をした。
「同じことだと思うが」
 総一郎はいつかを肩に引き寄せた。いつかは総一郎の肩にもたれる。
 夏の夜は蒸し暑いが、嫌ではない。
「謎を追うのですよね、星見司の人たちは」
 いつかは思った事を口にして見た。
 星見司と言うと、いつも世界の謎と格闘している印象があったからである。
「それは違うな。謎を追って、どうするんだ」
 総一郎はさらりと否定した。
 あら、といつかは思った。
「情報のなかから、つながるところを結び付けて、仮説を立ててさらに調べて正しいかどうかをさらに検証していく、そんな感じに見えますが」
「やってることはそうだ。だが、それは本質ではない」
 総一郎はそう言い、空を見上げた。
 いつかもそれにならって空を見上げる。
 星の瞬きが心地いい。
 今宵は七夕。NWの空にも天の川が見えた。
「星は綺麗だな」
「そうですね」
「星見司は、それと同じだ。星が美しいから見ている。星を繋げて物語を想像して愉しんでいる」
「物語を想像。そう思うと、楽しいですね」
「星を見て物語を思うのは馬鹿だな。星見司はそれを好きでやってる」
 いつかは肩越しに総一郎の顔を見上げた。
 総一郎と目が合う。彼は笑顔を浮かべていた。
「だから、謎を追ってるわけじゃないんだ。想像してるだけ」
「星の並びから物や生き物の形を考えた昔の人に似てますね、そう思うと」
「まったく同じだ」
 なるほど。
 星と星に線を引く。その形が人になり、動物になり、物になる。
 その空に浮かぶ人や動物の物語に想像を膨らませる。
 確かに、落ちている情報と情報を結びつけ、そこからその情報を調べる事は、空の星の話を作る事と同じである。

「だが、それだけではないな」
「ほかにも何かがあるのですか?」
「ああ。誇りうる理由があるな」
 総一郎の声は、自信に溢れていた。
「どんな?」
「星を見るのは、最初は趣味だが、最後までそうとは限らない。星を見ることは未来を予想することでもある。……最初は趣味だが、最後は人を助けたい。いつかは未来の役に立てたい。それが星見司の本質だ」
 そう言った後、いつかを見て、はっきりと言った。
「お前の役に立てるといいが」

 それを聞いて、いつかは思い出した。
 古くは、顔も見た事もない前線で戦う学兵達を救おうと奔走した人々の話。
 新しくは、離れ離れの危機を迎えた恋人達が一緒にいられる方法を考えた人々の話。
 彼らは、特殊な力はない。
 ただ、星を見ているだけである。
 星と星を線で繋ぎ、絵を描き、物語を作る。
 その時々で、たまに他世界の事を知る事がある。
 泣いて足を止める人々の声を聞く事がある。
 そんな時、彼らはいつも走るのである。そこには、打算も駆け引きも存在しない。
 彼らは、そう言う人なのである。

 いつかはふっと笑うと、総一郎の肩に頭を寄せた。
「あなたと一緒にいられることが、誇らしくなってきますね」
「なんだそれは」
 総一郎は頭を寄せるいつかを見て、照れくさそうに笑った。
「役立ち方は、きっと別に、もっといい方法があると思うぞ?」
「もっといい方法?」
「そうだな。軍人やるとか、政治家するとか、医者とか……」
 さっきあんなに嬉しそうに語ってた癖に。
 いつかは笑って寄せた頭を総一郎にこすり付けた。
「うーん、自分が好きな方法でやるのが一番だと思いますが」
「俺もそうおもって、まあ、なんだ。結構この無駄な行為を気に入ってる」
「無駄じゃないと思いますけどね」
「そうだといいが」
 二人は、再び視線を上げ、空を見上げた。


/*/


 今宵は七夕。
 NWの空の上でも、織姫と彦星は再会を果たしているのだろうか。
 空には、天の川。
 星が瞬き、夫妻を今日も見守っていた。

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