2008年06月26日
- 2008/06/26 od@ヲチ藩国さん依頼SS
od@ヲチ藩国さん依頼SS
ワンダーin広島
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遠足に行きました
~今日のおかもと生物かんさつ日記より~
/*/
今日は、遠足でした。
今日はおかもと生物が光を食べるのをかんさつに行きました。
うちの学校でどうめいを結んでいるおかもと生物に会いに行くのです。
お母さんに「どうめいって何」と聞いたら、「なかよくいっしょにいる事」と言っていました。
おかもと生物は強いから、ねりま生物をやっつけてくれるんだそうです。
ねりま生物は何もしてないのにビームとか出してこうげきしてくるので悪い奴なんだそうです。おかもと生物はそんなねりま生物をやっつけてくれるんだからすごいなあと思いました。
ついたらおかもと生物がとても大きく見えました。
前に来た時とどうかわっているのか分からなかったので先生に聞いたら、「かわっていないならかわっていないと書いていい」と言っていたので書きます。
今日もおかもと生物はかわらず大きかったのです。
先生は「前より進んでいる」と言っていましたが、どこにどう進んでいるのかわかりませんでした。学校の方に年年ちかづいているのだそうですが、学校からは遠いのでよくわかりませんでした。
3時になったらおかもと生物が光を食べるのでそれまでじゆう行動でした。
空を飛んでる船に手をふったり、みんなでたんけんしたりして遊んでいると、何か聞こえたので見に行きました。
口で何か言っている人たちがいました。
びっくりしました。お母さんに帰ってから聞いてみると、いなかの人はまだスキスを使ってない人がいるのだそうです。お母さんが子どものころは口でしゃべる人もふつうにいたそうです。今はいなかの人しか口でしゃべらないからめずらしいんだそうです。
3時になったので集まってみんなで手をつなぎました。くらくなるからあぶないので手をつながないとだめだと先生は言っていました。手をつなぎながら空を見ると、おかもと生物が動いていました。花火みたいにばちばち光って空はまっくらになりました。まっくらになるのはおかもと生物が光を食べたからなんだそうです。
そのまんまみんなで手をつないでテレポートで学校にかえりました。学校にかえるころにはまっくらだった空に太ようがもどっていました。
おもしろかったです。
*かんさつ日記とかんけいないことは日記に書こうね
/*/
odは辺りを見て面食らっていた。
何だここは。
それが第一反応だった。
辺りには見た事もない紫の植物が生え、何でできているか分からないような不気味な虫が飛んでいた。
odは唖然としていた。
一緒に来た海法はやや眉をひそめたものの冷静そのものであった。
「我々の知る第5世界から大きくずれてますね」
そうである。
ここは広島。随分様変わりしてしまったが、広島であった。
そもそもここにやって来たのは、広島に落ちた根源種族艦が今どうなっているかの調査だったのだが、あれが落ちただけでこうも世界が変わってしまうのか。
「これもある意味、時間犯罪ですね」
海法は続ける。
「根源種族艦根源種族艦言ってたら、最近なんだかかわいそうな人を見る目が痛くて、て話だったんですがそんなことを話してる場合じゃなさそうですね。善行さんにお会いするはずだったんですが、そもそもたどりつけるかどうか」
「……世界は広く、同時にいくつもの事件がおきています。……そのうちの一つがこれなんでしょう」
「なるほど……」
知っている歴史と様変わりし、odは口をつまらせるものの、とにかく情報を確保しようと辺りを見回した。
どれも自分の知っているカテゴリーに該当するものはない。
「海法さん。これは、時間がずれてるわけじゃないみたいですね……」
「時間がずれている、ではないですよ。ありえないものが歴史をかえてるんです」
「ありえないもの……根源、いや。憶測にとびつくのは危険。でしたよね」
odの言葉に海法がうなずく。
「根源種族艦の影響でしょうね」
「そうですか。なにか手がかりが? 根源種族艦の影響である、という」
海法は黙って空を飛ぶ蜻蛉もどきを見ていた。
「外殻が同じに見えます」
「なるほど」
odも習って蜻蛉もどきを見たが、外殻が何で出来ているかは判別できなかった。
/*/
そう二人があちこち観察している時だった。
いきなり目の前に人が現れた。
探そうと考えていた善行である。
「いつまでたっても話し掛けてこないので、来て見ました。どうしたのですか?」
言葉が上手い具合に繋がらない。
海法は冷静に「こりゃどうも、ここは不案内でして……」と挨拶をした。
「はい、すみません。少々面食らっておりました」
odの言葉に善行はいぶかしげに首を傾げた。
時間犯罪とはここまで深いものなのか。
自分達の常識で判断しちゃまずいな。
odはそう思い善行に顔を向き直した。
「はじめまして、ということになりますでしょうか。わたくし、海法さんの知人でodと申します。実は以前にも広島にはお邪魔させていただいたことがあるんです。ですが。そのときには、こういった植物や動物はいなかったように記憶しておりまして……それで、面食らっておりました。すみません」
odは丁寧に挨拶をする。
「ああ。岡本生物ですか。そうですね。まあ、今は戦争も終わってのんびりしてますよ」
どうも噛み合わないなあ。odはそう思った。
歴史の上だと本来の広島なら幻獣戦争の真っ只中なはずだが。
それは口には出さず、「それはなによりです」とだけ答えておいた。
しかしさっきの瞬間移動と言い、「話しかけない」と言う善行の発言と言い、まだ聞くべき事は多そうだな。そう思った。
「テレパスセルが、だいぶ普及しているようですね?」
「いえ?」
善行の意外な返答にodは困惑した。
「時代遅れですね。今はもう、そういうものを使う人もいませんよ」
「失礼しました、そういうものがあると伺っていたのですが」
「今はこれがあります」
善行は額を指差した。
額の模様は、ヨーコさんがつけているものとよく似ていた。
「精霊回路が普及した世界、か……」
海法はそう漏らす。
「なるほど。もしかすると、これが精霊回路というやつですか。噂だけは聞いたことがあります。私の知識は、随分時代遅れになってしまったようです。よろしければ、お話を聞かせていただけませんか。善行、ええと……」
善行の階級章を探したが、よく分からなかった。
「こちらではスキスと言います。今は第一級捜査導師」
「ありがとうございます、善行第一級捜査導師」
どうも軍の組織と言うものも随分と改変されてしまったらしく、ゴロが悪いなとぼんやりと思った。
「善行でいいですよ。堅苦しくていけません」
善行が笑う。
善行の性格だけは元の世界のままだなとodはそう思った。
「ここは珍しいという話ですが、他の行政区には?」
「いえ、日本には久しぶりで。ここが初めてで」
odはそう言ってお茶を濁した。
まさか世界移動してきて調査に来たと言っても信じてもらえないだろう。そう判断したのであった。
「ええと……そうだ、海法さん。我々がどうやってここまで移動してきているか、善行さんにはどこまで説明されてますか?」
「私は何も話してません。ただまあ、我々は旅行者です。まだスキスの恩恵を受けていない」
海法に話を振るとそう返された。
善行は面白そうな顔で二人を見て笑った。
「ははは。それは食事でもしながら話をしましょうか。もうそろそろ第一夜になりますし」
夜? 今はまだ昼じゃあ?
そう首を傾げて空を見た時だった。
時計を確認するとまだ昼の3時だと言うのにも関わらず空が暗くなってきた。
「ああやって光を捕食する生き物がいるせいで、ここでは夜が何度も起こります」
善行が当然のように言うのを聞きながら呆然と空を見ていた。
/*/
世界は不思議に満ちている。
odは大量に降り続く新しい情報に眩暈を覚えた。
世界は不思議に満ちている。
当然のように暮らしている善行を見ながら、そう考えるのであった。
odのワンダーな旅は、まだ始まったばかりである。
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遠足に行きました
~今日のおかもと生物かんさつ日記より~
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今日は、遠足でした。
今日はおかもと生物が光を食べるのをかんさつに行きました。
うちの学校でどうめいを結んでいるおかもと生物に会いに行くのです。
お母さんに「どうめいって何」と聞いたら、「なかよくいっしょにいる事」と言っていました。
おかもと生物は強いから、ねりま生物をやっつけてくれるんだそうです。
ねりま生物は何もしてないのにビームとか出してこうげきしてくるので悪い奴なんだそうです。おかもと生物はそんなねりま生物をやっつけてくれるんだからすごいなあと思いました。
ついたらおかもと生物がとても大きく見えました。
前に来た時とどうかわっているのか分からなかったので先生に聞いたら、「かわっていないならかわっていないと書いていい」と言っていたので書きます。
今日もおかもと生物はかわらず大きかったのです。
先生は「前より進んでいる」と言っていましたが、どこにどう進んでいるのかわかりませんでした。学校の方に年年ちかづいているのだそうですが、学校からは遠いのでよくわかりませんでした。
3時になったらおかもと生物が光を食べるのでそれまでじゆう行動でした。
空を飛んでる船に手をふったり、みんなでたんけんしたりして遊んでいると、何か聞こえたので見に行きました。
口で何か言っている人たちがいました。
びっくりしました。お母さんに帰ってから聞いてみると、いなかの人はまだスキスを使ってない人がいるのだそうです。お母さんが子どものころは口でしゃべる人もふつうにいたそうです。今はいなかの人しか口でしゃべらないからめずらしいんだそうです。
3時になったので集まってみんなで手をつなぎました。くらくなるからあぶないので手をつながないとだめだと先生は言っていました。手をつなぎながら空を見ると、おかもと生物が動いていました。花火みたいにばちばち光って空はまっくらになりました。まっくらになるのはおかもと生物が光を食べたからなんだそうです。
そのまんまみんなで手をつないでテレポートで学校にかえりました。学校にかえるころにはまっくらだった空に太ようがもどっていました。
おもしろかったです。
*かんさつ日記とかんけいないことは日記に書こうね
/*/
odは辺りを見て面食らっていた。
何だここは。
それが第一反応だった。
辺りには見た事もない紫の植物が生え、何でできているか分からないような不気味な虫が飛んでいた。
odは唖然としていた。
一緒に来た海法はやや眉をひそめたものの冷静そのものであった。
「我々の知る第5世界から大きくずれてますね」
そうである。
ここは広島。随分様変わりしてしまったが、広島であった。
そもそもここにやって来たのは、広島に落ちた根源種族艦が今どうなっているかの調査だったのだが、あれが落ちただけでこうも世界が変わってしまうのか。
「これもある意味、時間犯罪ですね」
海法は続ける。
「根源種族艦根源種族艦言ってたら、最近なんだかかわいそうな人を見る目が痛くて、て話だったんですがそんなことを話してる場合じゃなさそうですね。善行さんにお会いするはずだったんですが、そもそもたどりつけるかどうか」
「……世界は広く、同時にいくつもの事件がおきています。……そのうちの一つがこれなんでしょう」
「なるほど……」
知っている歴史と様変わりし、odは口をつまらせるものの、とにかく情報を確保しようと辺りを見回した。
どれも自分の知っているカテゴリーに該当するものはない。
「海法さん。これは、時間がずれてるわけじゃないみたいですね……」
「時間がずれている、ではないですよ。ありえないものが歴史をかえてるんです」
「ありえないもの……根源、いや。憶測にとびつくのは危険。でしたよね」
odの言葉に海法がうなずく。
「根源種族艦の影響でしょうね」
「そうですか。なにか手がかりが? 根源種族艦の影響である、という」
海法は黙って空を飛ぶ蜻蛉もどきを見ていた。
「外殻が同じに見えます」
「なるほど」
odも習って蜻蛉もどきを見たが、外殻が何で出来ているかは判別できなかった。
/*/
そう二人があちこち観察している時だった。
いきなり目の前に人が現れた。
探そうと考えていた善行である。
「いつまでたっても話し掛けてこないので、来て見ました。どうしたのですか?」
言葉が上手い具合に繋がらない。
海法は冷静に「こりゃどうも、ここは不案内でして……」と挨拶をした。
「はい、すみません。少々面食らっておりました」
odの言葉に善行はいぶかしげに首を傾げた。
時間犯罪とはここまで深いものなのか。
自分達の常識で判断しちゃまずいな。
odはそう思い善行に顔を向き直した。
「はじめまして、ということになりますでしょうか。わたくし、海法さんの知人でodと申します。実は以前にも広島にはお邪魔させていただいたことがあるんです。ですが。そのときには、こういった植物や動物はいなかったように記憶しておりまして……それで、面食らっておりました。すみません」
odは丁寧に挨拶をする。
「ああ。岡本生物ですか。そうですね。まあ、今は戦争も終わってのんびりしてますよ」
どうも噛み合わないなあ。odはそう思った。
歴史の上だと本来の広島なら幻獣戦争の真っ只中なはずだが。
それは口には出さず、「それはなによりです」とだけ答えておいた。
しかしさっきの瞬間移動と言い、「話しかけない」と言う善行の発言と言い、まだ聞くべき事は多そうだな。そう思った。
「テレパスセルが、だいぶ普及しているようですね?」
「いえ?」
善行の意外な返答にodは困惑した。
「時代遅れですね。今はもう、そういうものを使う人もいませんよ」
「失礼しました、そういうものがあると伺っていたのですが」
「今はこれがあります」
善行は額を指差した。
額の模様は、ヨーコさんがつけているものとよく似ていた。
「精霊回路が普及した世界、か……」
海法はそう漏らす。
「なるほど。もしかすると、これが精霊回路というやつですか。噂だけは聞いたことがあります。私の知識は、随分時代遅れになってしまったようです。よろしければ、お話を聞かせていただけませんか。善行、ええと……」
善行の階級章を探したが、よく分からなかった。
「こちらではスキスと言います。今は第一級捜査導師」
「ありがとうございます、善行第一級捜査導師」
どうも軍の組織と言うものも随分と改変されてしまったらしく、ゴロが悪いなとぼんやりと思った。
「善行でいいですよ。堅苦しくていけません」
善行が笑う。
善行の性格だけは元の世界のままだなとodはそう思った。
「ここは珍しいという話ですが、他の行政区には?」
「いえ、日本には久しぶりで。ここが初めてで」
odはそう言ってお茶を濁した。
まさか世界移動してきて調査に来たと言っても信じてもらえないだろう。そう判断したのであった。
「ええと……そうだ、海法さん。我々がどうやってここまで移動してきているか、善行さんにはどこまで説明されてますか?」
「私は何も話してません。ただまあ、我々は旅行者です。まだスキスの恩恵を受けていない」
海法に話を振るとそう返された。
善行は面白そうな顔で二人を見て笑った。
「ははは。それは食事でもしながら話をしましょうか。もうそろそろ第一夜になりますし」
夜? 今はまだ昼じゃあ?
そう首を傾げて空を見た時だった。
時計を確認するとまだ昼の3時だと言うのにも関わらず空が暗くなってきた。
「ああやって光を捕食する生き物がいるせいで、ここでは夜が何度も起こります」
善行が当然のように言うのを聞きながら呆然と空を見ていた。
/*/
世界は不思議に満ちている。
odは大量に降り続く新しい情報に眩暈を覚えた。
世界は不思議に満ちている。
当然のように暮らしている善行を見ながら、そう考えるのであった。
odのワンダーな旅は、まだ始まったばかりである。
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