未分類
- 2008/09/12 キャラ作成例その4
- 2008/08/08 日向美弥@紅葉国さん依頼SS
- 2008/07/05 鷺坂祐介@星鋼京さん依頼SS
キャラ作成例その4
武器・防具
武器名称:種別:重量:技能:射程:阻止線:貫徹力:攻撃修正:移動攻撃:弾数:備考
90mmQF:火砲(砲/人型):300:砲術:1500:1:7:12000:不可:10:初期官給品
互尊戦車兵型:ウォードレス:25:×2:×1:1:600:300:初期官給品。へり・航空機を除く乗り物を操縦している間攻撃修正に+1000
乗り物
士魂号M型”複座”練習機:乗り物(人型戦車):1000:×16:×4:5:12000:3000:初期官給品
その他アイテム
インナースーツ
トイレパック
無線機
軍服/制服
作業服
吉良大和の靴下
合計重量:342:軽荷
状態:重量:移動速度:ステップ:全力移動
軽荷:~800:×8:640:800
通常:801~1600:×4:320:400
重荷:1601~2400:×2:160:200
移動不能:2401~:-:-:-
武器名称:種別:重量:技能:射程:阻止線:貫徹力:攻撃修正:移動攻撃:弾数:備考
90mmQF:火砲(砲/人型):300:砲術:1500:1:7:12000:不可:10:初期官給品
互尊戦車兵型:ウォードレス:25:×2:×1:1:600:300:初期官給品。へり・航空機を除く乗り物を操縦している間攻撃修正に+1000
乗り物
士魂号M型”複座”練習機:乗り物(人型戦車):1000:×16:×4:5:12000:3000:初期官給品
その他アイテム
インナースーツ
トイレパック
無線機
軍服/制服
作業服
吉良大和の靴下
合計重量:342:軽荷
状態:重量:移動速度:ステップ:全力移動
軽荷:~800:×8:640:800
通常:801~1600:×4:320:400
重荷:1601~2400:×2:160:200
移動不能:2401~:-:-:-
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日向美弥@紅葉国さん依頼SS
デート
作ったばかりのワンピースを着て、美弥は軽やかに歩いていた。
玄ノ丈さん似合うって言ってくれるかな。
自然と笑みが零れた。
待ち合わせ場所に着き、キョロキョロと玄ノ丈を探す。
いた。
玄ノ丈はいつもより小奇麗な格好で立っていた。肩には花を背負っている。
髪にはポマードを塗っているらしい。オールバックになっている。
「こんにちは」
美弥は嬉しそうに玄ノ丈に寄っていった。
玄ノ丈はちらりと彼女を見た。
そして微笑んだ。
「似合っているじゃないか。美弥」
その言葉に美弥は耳まで真っ赤に染める。
名前、初めて呼んでもらえた。
「ありがとう……」
美弥はもじもじしているのを見て玄ノ丈は微笑んだ。
「花を持って歩く? それとも、俺に持たせる?」
「持って歩きたいです!」
玄ノ丈の問いに間髪入れずに答える美弥。
玄ノ丈は恭しく花束を差し出すのを美弥は大事に受け取った。
花束を大事に抱えてギューっとする。
玄ノ丈はそれを見て照れ臭そうに笑うと歩き出した。
歩調は美弥がついていけるようにゆっくりと。
美弥もトコトコとついていく。
「マチネでもいいんだが。ま、たまには俺らしくなくても、いいかとは思っている」
「どっちでも、玄ノ丈さんは素敵です」
美弥は嬉しそうに微笑む。
玄ノ丈も笑う。
そして二人並んで歩いた先には、スケート場があった。
/*/
スケート場の中はひんやりとしている。
「見ているか?それとも一緒に?」
「何度かすべったことはあるから、一緒に」
美弥がそう答えると玄ノ丈がスケート靴を借りてきた。
「はき方はわかるか?」
玄ノ丈が笑いながら言うのを美弥は笑いながら答える。
「わかりますよー、さすがに」
二人並んで靴を履いた後、玄ノ丈が先に立って美弥に手を出した。
美弥はその手を取って立ち上がる。
こうして二人はリンクの中に入っていった。
中に入ると、玄ノ丈は後ろを見ずにすーっと滑っていく。
手が離れる。
美弥は慌てて滑るが、玄ノ丈ほど上手くは滑れない。
その様子を見ながら手を叩いて玄ノ丈はゆっくりと下がっていく。
美弥はプーっと脹れた。
「どうした?」
その声が優しい。
だからこの距離がもどかしい。
美弥は玄ノ丈ほど上手くは滑れない。
玄ノ丈は後ろを滑っていく人々を華麗に避けていくのを格好いいなあとは思いつつも、一緒に滑りたいなあと思う。
「手をつないだままでいたいなって…」
思わず声に出る。
すると玄ノ丈が足を止める。
ポム
美弥は玄ノ丈の胸に飛び込む形となった。
「上出来だ」
耳元でそう囁かれ、美弥は再度顔を真っ赤に染める。
玄ノ丈は胸の中にいる美弥の髪を指でよけながら微笑んだ。
「いじわるしたな。じゃ、普通にすべるか?」
「はい! 今度は手を離さないでくださいね」
美弥のその言葉に玄ノ丈はつーっと滑って離れ、美弥の手を取った。
少し胸の中を名残惜しく思いつつも、美弥は差し出された手を取って、ゆっくりと滑った。
二人で手を繋ぎ、ゆっくりと滑る。
滑りながら、玄ノ丈が美弥の方に寄る。
「にゃ?」
美弥は玄ノ丈を見上げた。
「?」
「んと、うれしいなって」
美弥はえへへと笑いながら玄ノ丈を見つめる。
「ああ。近すぎたか?」
「ううん、これくらいで…」
「OK」
玄ノ丈は美弥を見下ろしながら微笑んだ。
美弥も笑顔で返す。
「照れるな」
「ええと、でも近い方がうれしいから」
ポンと、肩が当たる距離にまで近付いた。
「さすがに滑りにくいですよー」
美弥はくっついたまま笑った。
「それもそうか」
玄ノ丈はそう言うと美弥の手を離した。
つーっと優雅に滑って離れていく。
その玄ノ丈をリンク内の女性は「ほーっ」と見惚れている。
「わーん、極端すぎ」
「ははは」
美弥は玄ノ丈をよれよれと追いかけるとギューッと抱きついた。
「捕まったな」
「もう…」
二人はそのまま抱き合った。
周りからは冷やかしの声も聞こえるが、今は聞かないフリをする事とした。
「何度でもつかまえますもん」
抱き付いて近付いた玄ノ丈の耳元で美弥は囁く。
「いい度胸だ」
「誰かさんのおかげで」
二人はくすくす笑いながら離れた。
玄ノ丈は軽く美弥の頭を叩いた。
「飯でもどうだ」
美弥の先を玄ノ丈が滑っていく。
「は~い」
美弥も後を追いかけて滑っていった。
/*/
二人は腕を組んで歩いていた。
何を食べる? どこで食べる?
他愛ない会話をしながら、体を寄せ合い歩く。
少し冷えた身体に、互いの体温が心地よかった。
作ったばかりのワンピースを着て、美弥は軽やかに歩いていた。
玄ノ丈さん似合うって言ってくれるかな。
自然と笑みが零れた。
待ち合わせ場所に着き、キョロキョロと玄ノ丈を探す。
いた。
玄ノ丈はいつもより小奇麗な格好で立っていた。肩には花を背負っている。
髪にはポマードを塗っているらしい。オールバックになっている。
「こんにちは」
美弥は嬉しそうに玄ノ丈に寄っていった。
玄ノ丈はちらりと彼女を見た。
そして微笑んだ。
「似合っているじゃないか。美弥」
その言葉に美弥は耳まで真っ赤に染める。
名前、初めて呼んでもらえた。
「ありがとう……」
美弥はもじもじしているのを見て玄ノ丈は微笑んだ。
「花を持って歩く? それとも、俺に持たせる?」
「持って歩きたいです!」
玄ノ丈の問いに間髪入れずに答える美弥。
玄ノ丈は恭しく花束を差し出すのを美弥は大事に受け取った。
花束を大事に抱えてギューっとする。
玄ノ丈はそれを見て照れ臭そうに笑うと歩き出した。
歩調は美弥がついていけるようにゆっくりと。
美弥もトコトコとついていく。
「マチネでもいいんだが。ま、たまには俺らしくなくても、いいかとは思っている」
「どっちでも、玄ノ丈さんは素敵です」
美弥は嬉しそうに微笑む。
玄ノ丈も笑う。
そして二人並んで歩いた先には、スケート場があった。
/*/
スケート場の中はひんやりとしている。
「見ているか?それとも一緒に?」
「何度かすべったことはあるから、一緒に」
美弥がそう答えると玄ノ丈がスケート靴を借りてきた。
「はき方はわかるか?」
玄ノ丈が笑いながら言うのを美弥は笑いながら答える。
「わかりますよー、さすがに」
二人並んで靴を履いた後、玄ノ丈が先に立って美弥に手を出した。
美弥はその手を取って立ち上がる。
こうして二人はリンクの中に入っていった。
中に入ると、玄ノ丈は後ろを見ずにすーっと滑っていく。
手が離れる。
美弥は慌てて滑るが、玄ノ丈ほど上手くは滑れない。
その様子を見ながら手を叩いて玄ノ丈はゆっくりと下がっていく。
美弥はプーっと脹れた。
「どうした?」
その声が優しい。
だからこの距離がもどかしい。
美弥は玄ノ丈ほど上手くは滑れない。
玄ノ丈は後ろを滑っていく人々を華麗に避けていくのを格好いいなあとは思いつつも、一緒に滑りたいなあと思う。
「手をつないだままでいたいなって…」
思わず声に出る。
すると玄ノ丈が足を止める。
ポム
美弥は玄ノ丈の胸に飛び込む形となった。
「上出来だ」
耳元でそう囁かれ、美弥は再度顔を真っ赤に染める。
玄ノ丈は胸の中にいる美弥の髪を指でよけながら微笑んだ。
「いじわるしたな。じゃ、普通にすべるか?」
「はい! 今度は手を離さないでくださいね」
美弥のその言葉に玄ノ丈はつーっと滑って離れ、美弥の手を取った。
少し胸の中を名残惜しく思いつつも、美弥は差し出された手を取って、ゆっくりと滑った。
二人で手を繋ぎ、ゆっくりと滑る。
滑りながら、玄ノ丈が美弥の方に寄る。
「にゃ?」
美弥は玄ノ丈を見上げた。
「?」
「んと、うれしいなって」
美弥はえへへと笑いながら玄ノ丈を見つめる。
「ああ。近すぎたか?」
「ううん、これくらいで…」
「OK」
玄ノ丈は美弥を見下ろしながら微笑んだ。
美弥も笑顔で返す。
「照れるな」
「ええと、でも近い方がうれしいから」
ポンと、肩が当たる距離にまで近付いた。
「さすがに滑りにくいですよー」
美弥はくっついたまま笑った。
「それもそうか」
玄ノ丈はそう言うと美弥の手を離した。
つーっと優雅に滑って離れていく。
その玄ノ丈をリンク内の女性は「ほーっ」と見惚れている。
「わーん、極端すぎ」
「ははは」
美弥は玄ノ丈をよれよれと追いかけるとギューッと抱きついた。
「捕まったな」
「もう…」
二人はそのまま抱き合った。
周りからは冷やかしの声も聞こえるが、今は聞かないフリをする事とした。
「何度でもつかまえますもん」
抱き付いて近付いた玄ノ丈の耳元で美弥は囁く。
「いい度胸だ」
「誰かさんのおかげで」
二人はくすくす笑いながら離れた。
玄ノ丈は軽く美弥の頭を叩いた。
「飯でもどうだ」
美弥の先を玄ノ丈が滑っていく。
「は~い」
美弥も後を追いかけて滑っていった。
/*/
二人は腕を組んで歩いていた。
何を食べる? どこで食べる?
他愛ない会話をしながら、体を寄せ合い歩く。
少し冷えた身体に、互いの体温が心地よかった。
鷺坂祐介@星鋼京さん依頼SS
青空の下の微笑み
~呪われろ
決してお前達が結ばれぬように竜の呪いをかける~
/*/
彼の様子がおかしいとかすみが感じるようになったのはつい1ヶ月前だった。
いきなり無断で学校を休み始めたのだ。
あれから1月。ろくに会話をしていない。
あれから自分も変になったのだろうか? 自分も彼とあまり接点を持たなくなったように思える。
そんな時だった。告白をされたのは。
「ずっと前から好きでした。付き合って下さい」
面食らった。自分に「好き」と言ってきたのは、彼を含めて2人目だった。
相手はバスケットボール部の先輩。爽やか好青年って感じだ。
付き合うには、人の手前でもいい相手だろう。
でも、何かが違う。
かすみは首を傾げた。
何でこんなに心の中がもやもやするのだろう。
告白を受けてはいけない気がする。でも何でだろう?
私が誰と付き合おうと自由なはず。でも違う。何かが違う。
かすみは呪いを受けていた。好きな相手とは決して結ばれない貝神様の呪い。
でもかすみ自身はその事に全く気付いていなかった。
しかし、呪いはかけられていても、彼女の心を心底から縛る事はできなかった。
バスケ部の先輩としゃべっている所に、彼が現れた。
「失礼しますー。竹刀、取らせてください。」
「どうぞ。いこう、かすみ」
「あ、うん」
彼を見た瞬間。
かすみはぐるぐるしていた。
何かが違う。何かが違う。
「あ。かすみ、話があるんだけど、後でいい?」
彼が話しかけてきた。
ちらりと彼の顔を見た。
心配そうな、真剣そうな顔。
かすみはどうすればいいか分からず、とりあえず笑った。
人は訳が分からない時、とりあえず笑う。
「部活あるから、またこんど」
「ちょっと大事な話なんだけどさ。」
彼は真剣な顔でかすみと向き合う。
「今日、お願いしたいんだけど。やっぱ無理?」
先輩が「かすみ、早く」とせかしている。
かすみは曖昧に笑った後、先輩の後をついていった。
取り残された彼の、悲しそうな顔は見たくなかった。
何でこうなったんだろう?
かすみはちくりと胸に何かが刺さったような、そんな感覚を受けていた。
/*/
「昨日言ってた大事な話なんだけど、しばらく学校出れなくなるかもなんだ。だから、ここで書いておくね。
かすみが好きです。付き合ってください。」
彼からの手紙が届いた。
彼はまた、学校に来なくなるらしい。
何でだろう。何で胸が苦しいんだろう。
かすみは首を傾げた。
自分の気持ちが分からなかった。
呪いは、彼女の心を鈍く重くしていた。
その日も、かすみは遅刻しそうになって走っていた。
走って走って走って。
「おーい! おはよう!!」
気付けば彼も一緒に走っていた。
かすみは振り返る。
「……おはよう」
「おはよう! 手紙はゴメン、かすみが好きな事は本当だった。」
彼は続けた。
「でも、これからは目の前の風住(かすみ)を好きになろうと思う! だから。風住、付き合ってください。」
かすみは目を見開いた。
胸の中の霧が、一気に晴れ上がったような、そんな感覚を覚えた。
「……」
彼の瞳をじっと見る。
彼の瞳の中には、自分が映っていた。
「いいけど」
「ありがとう! ……遅刻、するよ? 競争、する?」
彼は笑っていた。
かすみ、改め風住はむー、となったが、まあいっかと考え直した。
自然と笑みが浮かぶ。
彼に手を伸ばした。
彼は風住の手を取った。
そのまま二人は手を取り合って走る。
「自分は伯牙じゃなくて、鷺坂祐介。よろしくね!」
彼の……鷺坂祐介の顔には大きく笑みが浮かんでいた。
風住も一緒に笑った。
青空の下、二人の笑顔が輝いていた。
~呪われろ
決してお前達が結ばれぬように竜の呪いをかける~
/*/
彼の様子がおかしいとかすみが感じるようになったのはつい1ヶ月前だった。
いきなり無断で学校を休み始めたのだ。
あれから1月。ろくに会話をしていない。
あれから自分も変になったのだろうか? 自分も彼とあまり接点を持たなくなったように思える。
そんな時だった。告白をされたのは。
「ずっと前から好きでした。付き合って下さい」
面食らった。自分に「好き」と言ってきたのは、彼を含めて2人目だった。
相手はバスケットボール部の先輩。爽やか好青年って感じだ。
付き合うには、人の手前でもいい相手だろう。
でも、何かが違う。
かすみは首を傾げた。
何でこんなに心の中がもやもやするのだろう。
告白を受けてはいけない気がする。でも何でだろう?
私が誰と付き合おうと自由なはず。でも違う。何かが違う。
かすみは呪いを受けていた。好きな相手とは決して結ばれない貝神様の呪い。
でもかすみ自身はその事に全く気付いていなかった。
しかし、呪いはかけられていても、彼女の心を心底から縛る事はできなかった。
バスケ部の先輩としゃべっている所に、彼が現れた。
「失礼しますー。竹刀、取らせてください。」
「どうぞ。いこう、かすみ」
「あ、うん」
彼を見た瞬間。
かすみはぐるぐるしていた。
何かが違う。何かが違う。
「あ。かすみ、話があるんだけど、後でいい?」
彼が話しかけてきた。
ちらりと彼の顔を見た。
心配そうな、真剣そうな顔。
かすみはどうすればいいか分からず、とりあえず笑った。
人は訳が分からない時、とりあえず笑う。
「部活あるから、またこんど」
「ちょっと大事な話なんだけどさ。」
彼は真剣な顔でかすみと向き合う。
「今日、お願いしたいんだけど。やっぱ無理?」
先輩が「かすみ、早く」とせかしている。
かすみは曖昧に笑った後、先輩の後をついていった。
取り残された彼の、悲しそうな顔は見たくなかった。
何でこうなったんだろう?
かすみはちくりと胸に何かが刺さったような、そんな感覚を受けていた。
/*/
「昨日言ってた大事な話なんだけど、しばらく学校出れなくなるかもなんだ。だから、ここで書いておくね。
かすみが好きです。付き合ってください。」
彼からの手紙が届いた。
彼はまた、学校に来なくなるらしい。
何でだろう。何で胸が苦しいんだろう。
かすみは首を傾げた。
自分の気持ちが分からなかった。
呪いは、彼女の心を鈍く重くしていた。
その日も、かすみは遅刻しそうになって走っていた。
走って走って走って。
「おーい! おはよう!!」
気付けば彼も一緒に走っていた。
かすみは振り返る。
「……おはよう」
「おはよう! 手紙はゴメン、かすみが好きな事は本当だった。」
彼は続けた。
「でも、これからは目の前の風住(かすみ)を好きになろうと思う! だから。風住、付き合ってください。」
かすみは目を見開いた。
胸の中の霧が、一気に晴れ上がったような、そんな感覚を覚えた。
「……」
彼の瞳をじっと見る。
彼の瞳の中には、自分が映っていた。
「いいけど」
「ありがとう! ……遅刻、するよ? 競争、する?」
彼は笑っていた。
かすみ、改め風住はむー、となったが、まあいっかと考え直した。
自然と笑みが浮かぶ。
彼に手を伸ばした。
彼は風住の手を取った。
そのまま二人は手を取り合って走る。
「自分は伯牙じゃなくて、鷺坂祐介。よろしくね!」
彼の……鷺坂祐介の顔には大きく笑みが浮かんでいた。
風住も一緒に笑った。
青空の下、二人の笑顔が輝いていた。